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【突然おこる頭痛に注意!】くも膜下出血の原因や症状、治療、3大合併症を紹介しています。

脳血管障害 頭痛 高血圧
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くも膜下出血(SAH)は、なんらかの原因疾患により脳表面の動脈が破綻(はたん)して、くも膜下腔
(くも膜と軟膜の間)に出血が生じた病態をいいます。

クモ膜下出血の80%は、脳動脈瘤によるもので40~60歳代に多いのですが、約5~10%は、
20~40歳代の若い人におこり、死亡や重度後遺症を残す割合が多い病気なのです。

ここでは、クモ膜下出血の原因や症状、治療、合併症について紹介していきたいとおもいます。

くも膜下出血になる原因

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脳は図9のように外側から硬膜(こうまく)、くも膜軟膜(なんまく)の3枚の膜でおおわれています。
くも膜の下(内側)には脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体があり、この部分に出血するのが
くも膜下出血です。

くも膜下出血は、なんらかの原因疾患によって、脳表面の動脈が破綻(はたん)して、出血がおこります。
ここでは、その原因となる疾患をみていきます。

頭蓋内疾患

脳動脈瘤破裂
くも膜下出血の原因としてもっとも多いのが動脈瘤がはれつする脳動脈瘤破裂です
くも膜下出血の80%以上をしめ、中高年(40~60歳代)女性に多い(男女比1:2)病気です。

脳動静脈奇形(AVM)
くも膜下出血の原因で2番目に多いのが、異常血管の破綻(はたん)によっておこる、脳動静脈奇形です
くも膜下出血の約5~10%をしめ、20~40歳代の男性に多い病気です。

脳出血
高血圧などが原因で、脳実質内におこる出血です。

もやもや病
側副路の血管が破綻(はたん)する脳血管障害です。
側副路とは、主動静脈に閉塞がおきたときに形成される枝分かれの迂回路(バイパス)です。

脳腫瘍
腫瘍の新生血管から出血をおこします。

脳血管炎
血管の炎症で出血をおこします。

全身性疾患

血液疾患(白血病、血友病)
凝固や線溶(血をとかす)の異常で出血しやすく、くも膜下出血になります。

出血性素因
薬剤により出血がしやすくなり、くも膜下出血になります。

その他に事故や外傷による出血でくも膜下出血がおこる場合もあります。
脳動脈瘤と脳動静脈奇形以外のものが、くも膜下出血の約10%の割合でおこります。

くも膜下出血の症状

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”バットでなぐられたような”突然の激しい頭痛
くも膜下出血では、”突然の激しい頭痛”をうったえて、来院することや意識障害で搬送されることが
多いです。

”激しい”頭痛は有名ですが実際は、”激しい”という症状がないことも多いので注意が必要です
”突然”であることは多いので、ふだん頭痛もちではない人が、突然おこる頭痛には注意しましょう。

突然の頭痛→「何時何分に始まった」と発症のタイミングまで覚えていることが多いです。

激しい頭痛→「バットやハンマーでなぐられたような」、「これまで経験したことがない」「人生最悪の」
という訴えが多いです。

意識障害
意識障害の程度は、予後とつよく関係していて、意識障害が強いほど予後が悪いといわれています。

悪心、嘔吐

けいれん

髄膜(ずいまく)刺激症状
髄膜(ずいまく)刺激症状とは、つぎの3つがあります。
項部硬直
患者が仰向けにねているときに、頭部をもちあげるとあきらかな抵抗や痛みがあります。

Kernig(ケルニッヒ)徴候
患者が仰向けにねているときに、片方ずつ足をあげてみると、抵抗により膝がまがって、135°以上
のばすことができません。

neck flexion test(ネックフレクションテスト)
患者が仰向けにねているときに顎を胸近づけようとしても胸につかない
またはあきらかな抵抗や痛みがあります。

※髄膜(ずいまく)刺激症状は、くも膜下出血の患者には必ずといっていいほど、
みられる症状ですが、出血直後にはみられないこともあります。

3大予後不良因子

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くも膜下出血は発症直後の急性期から慢性期にかけて、一時的脳損傷再出血脳血管攣縮(れんしゅく)
などのさまざまな病態が出現します。
これらを3大予後不良因子といいますが、これらの出現をふせぐことが、予後改善のために重要です。

一時的脳損傷
動脈瘤の破裂によって直接的にひきおこされる脳の損傷のことをいいます。
重症例では即死の場合もあります

脳血管攣縮(れんしゅく)
くも膜下出血の発症後に出血した血液中の成分によってひきおこされる持続的な血管の収縮で、
血液のながれが悪くなります。

一般的には、くも膜下出血の発症後約72時間以降に出現し、2週間ほど持続します。
(ピークは8~10日

脳血管攣縮がおこると

脳虚血がおこります。

約半数に脳梗塞がおこります。
・失見当識(いつ、どこ、だれ?が分からなくなります)
・意識レベルの低下
・片麻痺などの局所神経症状などがあらわれてきます。

脳血管攣縮をおこさせないためには、血腫の除去や昇圧、予防薬での攣縮の予防をすること、
早期に診断・治療をすることが重要となります。

再出血
再出血は発症後24時間以内にもっともおこりやすく、再出血すると、予後はひじょうに不良と
なります。
再出血は動は脈瘤がはれつしたあとに次のようにしておこります。

【動脈瘤がはれつ】

はれつした瘤の壁にフィブリン(血液凝固にかかわるたんぱく質)がつき止血されています。

・血圧があがる
・頭蓋内圧があがるなどがおこったしまったら

プラスミンなどの線溶系(かたまった血栓をとかして分解する作用)がおこります。

フィブリン塊がとかされて、弱くなっているところに圧がかかります。

再出血がおこります

※再出血の予防として鎮痛、鎮静をはじめ全身管理が重要となります。

3大予合併症

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くも膜下出血の3大合併症として、再出血脳血管攣縮(れんしゅく)正常圧水頭症があります。

①再出血…発症後24時間以内が多い。死亡率がたかい。

②脳血管攣縮(れんしゅく)…72時間後から2週間後(ピークは8~10日

再出血と脳血管攣縮については、くわしくは3大予後不良因子のところで説明しています。

③正常圧水頭症…数週間~数ヶ月後に認知症尿失禁歩行障害などがあらわれます。

急性期

急性期は再出血はもちろんのこと、血腫などによる一時的脳の損傷と、続発する脳浮腫、脳ヘルニア
そして交感神経系の過剰な亢進にともなう心臓や肺の変化が重要です。

急性合併症として、つぎのようなものがあげられます。
・急性水頭症・脳浮腫
・脳ヘルニア・けいれん発作
・交感神経の興奮による心機能障害
・心原性肺水腫

①くも膜下出血を発症

くも膜下血腫、脳内出血、脳室内出血がおこります。

重度の脳損傷がおこります。

②くも膜下出血を発症

くも膜下腔に動脈圧がかかります。

脳虚血がおこります。

脳浮腫がおこります。

重度の脳損傷がおこります。

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③くも膜下出血を発症

脳底部の出血で視床下部・脳幹を圧迫します。

交感神経系の興奮がおこります。

肺循環障害がおこります。

心原性肺水腫(心臓が原因で肺が水びたしになった状態)がおこります。

脳虚血がおこります。

脳浮腫がおこります。

重度の脳損傷がおこります。

いずれの合併症がおきても最後は、重度脳損傷につながってしまいます。

亜急性期(急性と慢性の中間期)

亜急性期は脳血管攣縮(れんしゅく)につきますが、低Na血症にも注意が必要です。

・腎臓からのNa喪失がおこった場合(原因不明)
・脳浮腫や水頭症などの二次的な脳の損傷がおこった場合

脳血管攣縮(れんしゅく)がおこります。

脳循環障害がおこります。

脳虚血・脳梗塞がおこります。

慢性期

くも膜下腔での脳脊髄液循環・吸収障害がおこった場合

脳質が拡大します。

正常圧水頭症がおこります。

※手術で再出血の危険が回避されても、脳血管攣縮(れんしゅく)や全身合併症など、
急性~亜急性期に発症する合併症をのりきるまでは安心できません

くも膜下出血の治療

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術前管理

くも膜下出血の管理においてもっとも重要なことは、手術までのあいだに再出血を
おこさないようにすること
です。

血圧のコントロール
再出血をふせぐには、血圧のげんみつな管理が必要となります。
基本は降圧ですが、降圧しすぎると脳血流が不十分になるため、140/90mmHg以下を
めやすにおこないます。

急激な血圧変化も再出血につながるので、鎮痛鎮静もおこないます。

頭蓋内圧の管理
脳に浮腫を生じさせないように薬をのみます。

けいれんにたいしての治療
けいれん発作をおこさないようにするために抗けいれん薬をのみます。

急性期の全身管理

血圧コントロール以外に下記のようなことがあげられます。
Cushing潰瘍予防
開頭手術後などのストレスにより発症する急性胃・十二指腸潰瘍の予防をします。
胃酸分泌の促進や交感神経の刺激による胃の血流低下などが関与します。

その他、環境の管理として
・感覚遮断(遮光)など
・体位(半坐位)
などをし、呼吸管理(酸素マスク)などの全身管理をおこないます。

手 術

再出血をふせぐだけでなく、血腫の除去により脳血管攣縮(れんしゅく)をふせぎます。
手術が可能な場合は、脳血管攣縮(れんしゅく)発症前(出血後72時間以内)までの
早期におこないます。

手術には動脈瘤頸部クリッピング術(開頭する)動脈瘤コイル塞栓術(開頭しない)があります。

動脈瘤頸部クリッピング術

動脈瘤頸部クリッピング術は、開頭し直接動脈瘤をクリップではさんで止血する手術です。

直接病変を治療するため確実性がたかく、血腫の除去もできるため脳血管攣縮(れんしゅく)の
予防にも役立ちます。

しかし、侵襲性(しんしゅうせい)がたかいため重症患者や高齢者には不向きです
侵襲性とは、生体をきずつけることをいいます。

動脈瘤コイル塞栓術

動脈瘤コイル塞栓術は、血管内手術により脳動脈瘤を治療する低侵襲性(しんしゅうせい)の
治療法です。

開頭せずに治療できるため、重症患者や高齢者でも施工可能なことが多いです。
また、脳を損傷させるりすくが低く術後の後遺症も少なくてすみます

【動脈瘤コイル塞栓術の方法】
マイクロカテーテルを鼠径部(そけいぶ)から挿入します。

血管内で脳動脈瘤まで上行させます。

脳動脈瘤内へプラチナコイルをつめ塞栓します。

【動脈瘤コイル塞栓術が困難な場合】
動脈瘤の頸部(根本)の部分がひろい場合には、コイルがおさまりにくいため、塞栓術は困難です。

大型、巨大、血栓化動脈瘤の場合

術後の管理

術後の管理としては、脳血管攣縮(れんしゅく)による脳虚血(脳梗塞)の予防および治療
もっとも重要でありますが、現在のところ決定的なものは存在しません。

攣縮(れんしゅく)の予防法として以下のような方法がおこなわれています。

①triple H療法…人為的に循環血漿量や血圧をあげ、さらに血液の粘度をさげることで脳血流を
改善します。

②脳槽or腰椎ドレナージ…攣縮(れんしゅく)物質の血腫を排出して、頭蓋内圧を管理します。

③血腫溶解療法…くも膜下腔の血腫をとかして、排出します。

④全身的薬物投与…脳血管攣縮(れんしゅく)を予防します。

くも膜下出血を見落とさないために…

くも膜下出血の特徴的な主症状として「激しい頭痛」が有名ですが、実際は、激しい頭痛を
訴えずたんなる頭痛をうったえて、自分であるいて病院にいくという患者も少なくありません。
また、出血が少ないとCTにも異常がみられないこともあるのです。

こうしたケースでは、片頭痛や群発(ぐんぱつ)頭痛など、他の頭痛と診断されやすく、
帰宅後に再出血をして重篤な状態になることもありえるのです

普段はまったく頭痛がないのに、突然頭痛がおこって、ムカムカするなどの症状がおこった場合
CT検査ができる総合病院での受診をおすすめします。

くも膜下出血は、一般に、社会復帰できる患者、重度後遺症をのこす患者、死亡する患者の割合が
おおよそ1/3ずつになる(1/3ルール)といわれるほど重い疾患です。
それだけに、早期発見、早期治療がとても大事だということではないでしょうか。

ライター紹介 ライター一覧

hamamoto

hamamoto

医学の大好きなHAMAMOTOです。
病気や健康について、皆さまに分かりやすく紹介していきたいと頑張っています!(^^)!
現在、鍼灸治療院を経営し、皆さまの健康にたずさわっています。
平成13年に整体師として治療院をしつつ、平成16年にアロマコーディネーターの
資格を取得しました。
鍼灸治療院を開業したのは、2016年5月ではございますが、患者さまの治療と
皆さまへの健康にかんする情報発信に頑張っていきたいと思っています!
鍼師免許 第171865号
灸師免許 第171571号
ウェブサイトURL:http://health-life.tokyo/
メールアドレス:koume3086@gmail.com

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