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【脳血管障害の後遺症:高次脳機能障害】種類やリハビリテーション、対応法を紹介しています。

 2016/11/30 脳血管障害
この記事は約 13 分で読めます。 33 Views

けがや病気により、脳に損傷をおったあとの障害のことを高次脳機能障害といいます。
高次脳機能障害の症状は、脳の損傷した場所によって、人それぞれことなり、重症度もさまざまです。
また、その場の環境や対応する相手によって、現れ方がことなる場合もあります。

ここでは、その高次脳機能障害の種類やリハビリテーション、対応法を紹介していきます。

高次脳機能障害とは

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「高次脳機能障害」は、学術用語としては脳血管障害や変性疾患、頭部外傷などにより、失語・失行・
失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの障害をおこしている状態です。

変性疾患とは…出生時までに一度できあがったものが、時間とともにその形や組織が壊れる病気をいいます。

一方、厚生労働省の「高次脳機能障害支援モデル」をおこなうにあたって、 記憶障害、注意障害、遂行機能障害、的行社会動障害などの認知障害が原因で、日常生活及び社会生活への適応できない人たちが存在し
これらについてはリテーション、生活支援等の方法が確立しておらず早急な検討が必要なことが明らかに
なりました。

そこでそのような人たちの支援対策を推進する観点から、行政的に、この一群が示す認知障害を
高次脳機能障害」と呼び、 この障害を有する者を「高次脳機能障害者」としました。

高次脳機能障害は、症状が現れていても、外見上に障害が目立ちません。
そのため、障害があることを本人や周囲の人が気づくまでに時間がかかりがちです。
そのようなことから、高次脳機能障害は「みえない障害」ともいわれています。

例えば、交通事故に会い、入院治療中は何事もなかったのに、退院して職場に復帰したら、以前はできていた仕事ができなくなっていたというケースがあります。
障害は、入院中よりも日常生活で出現しやすいのです。
そのため事故から3~6か月後と、かなり時間が経過してから、分かることもあります。

高次脳機能障害の診断基準

1.主要症状等

・事故による受傷や疾病の発症による脳損傷の事実が確認されている

・現在、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害によって、日常生活または
 社会生活に制約がある

2.検査所見

・MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳のどこかに病変の存在が確認されている

・あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。
脳の器質的病変とは…病理的・解剖的な異常が脳に生じた事により引き起こされる病気をいいます。

3.高次脳機能障害から除外するもの

・脳の器質的病変がある認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状ああるものの上記の主要症状や
検査所見がない場合は高次脳機能障害から除外します。

・診断にあたって、受傷または発症以前からある症状と検査所見は除外します

・先天性疾患(生まれもっての病気)、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする場合は
除外します。

診 断

上記の1.2にあてはまり、3の除外するものであてはまらなければ、高次脳機能障害と診断されます。
高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状をすぎたあとに
おこないます。

なお、診断基準を満たす一方で、2の検査所見で脳の器質的病変の存在があきらかでない場合については、
慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあります。

高次脳機能障害の原因

・脳梗塞…約50%
・脳内出血…約20%
・変性疾患…約7%
・くも膜下出血…約6%
・脳外傷…約5%
・脳腫瘍…約2%
・不明・その他…約10%

高次脳機能障害のおもな病巣(びょうそう)

病巣とは病的変化の起こっている箇所をいいます。
高次脳機能障害の生じる代表的な脳損傷部位を紹介します。

前頭葉

社会的行動障害…人間関係がうまくつくれない。

注意障害…気がちってしまう。

遂行機能障害…計画的に行動ができない。

Broca(ブローカ)失語…うまくしゃべることができない。

側頭葉

聴覚性失認…聴覚は正常なのに言葉がききとれない。

相貌失認(そうぼうしつにん)…顔を見てもその表情の識別が出来ず、誰の顔か解らず、個人の識別が出来なくなる。

左脳の損傷時にWernicke(ウエルニッケ)失語…話すことはできるが言葉の理解ができない。

左脳の損傷時に物体失認…物体としての対象が把握できない。

頭頂葉

肢節(しせつ)運動失行…単純な手指の自発動作・命令動作ができなくなり歩行の特に踏み出しできにくくなる。

身体部位失認…触覚(さわった感覚)で対象を認識できない。

構成障害…十分に認識できる図形や形にを構成・配列が再現できない。

観念(かんねん)運動性失行…自動運動は可能であるが目的をもっての運動はできない。

失読失書…文字をかいたり、読んだりができない。

半側空間無視…脳の損傷の反対側の刺激に反応したり、注意を向けたりできない。

着衣失行…衣服を正しく着る動作ができなくなる。

後頭葉

物体失認…物体としての対象が把握できない。

障害部位は絶対的なものではなく、ほかの部位の損傷でも障害を生じることがあります。

高次脳機能障害の症状べつの頻度

1000人中どのくらいの割合で障害になったかを紹介します。
1位 認知症…92.3%
2位 失語症…90.8%
3位 半側空間無視…82.2%
4位 注意障害…77.4%
5位 記憶障害…77.4%
6位 失行症…75.2%
7位 遂行機能障害…67.0%
8位 半側身体失認…64.8%
9位 社会的行動障害…64.0%
10位 失認症…54.1%

おもな高次脳機能障害の症状と対応法

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注意障害の症状

注意障害とは周囲からの刺激に対し、必要なものに意識を向けたり、重要なものに意識を集中させたり
することが、うまくできなくなった状態をいいます。

注意機能とはつぎのようなものがあります。
・対象をえらぶ(選択性)
・対象への注意を持続させる(持続性)
・対象をきりかえる(転導性)
・複数の対象へ注意を配分する(分配性)

↓ 障害されると…

・気が散りやすい
・長時間一つのことに集中できない
・ぼんやりしていて、何かするとミスばかりする
・一度に二つ以上のことをしようとすると混乱する
・周囲の状況を判断せずに、行動を起こそうとする
・言われていることに、興味を示さない

注意障害のリハビリ・対応

①集中するためには・・・
・一度に多くの作業をしないようにしましょう。
・集中する時間を少しずつ延ばしていきましょう。
・患者が興味をしめす課題を、じっくり時間をあたえておこなわせるようにしましょう。

刺激をなくして環境を整えましょう
・何か行うときは、静かで、かたずいた場所でおこなうようにしましょう。
・注意事項は紙に書いて、目につく場所に貼っておくようにしましょう。

情報は、整理して簡潔につたえましょう

遂行(すいこう)障害の症状

遂行機能障害とは、論理的に考え、計画し、問題を解決し、行動したり、物事を段取りよく進められなくなった
状態をいいます。

遂行機能とは、つぎのようなものがあります。
・目標を明確にする(目標の設定)
・目標達成のための手段を選択する(計画の立案)
・正しい順序で開始、持続する(計画の実行)
・自分の行動を評価・修正する(効率的な行動)など

↓ 障害されると…

・自分で計画を立てられない
・指示してもらわないと何もできない
・物事の優先順位をつけられない
・段取りがわるい
・仕事が決まったとおりに仕上がらない
・こだわりが強く、予定外のことに対応できない

遂行機能のリハビリ・対応

遂行機能障害は注意障害・失語・記憶障害をともなっていることがあります。
まずは、これらの障害の問題を解決してから遂行機能障害に対応しましょう。

①行動がスムーズに行えるようにするためには・・・

・目標に対して、計画をたて実行する訓練をしましょう。
・時間に余裕をもって計画を立てるようにしましょう。
・計画は具体的に書き出して、1つずつ確実におこなうようにしましょう
・わからなくなったら、質問するように指導しましょう

環境を整えましょう
・行うべき行動が目に見えるように張り出しておきましょう。

記憶障害の症状

記憶障害とは、事故や病気の前に経験したことが思いだせなくなったり、新しいことが覚えられなく
なったり、思いだすことができなくなったりした状態です。
おもに障害されている脳の部位は海馬(かいま)などの大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)です。
代表的なものに健忘症があります。

健忘症

健忘症には、前向性健忘症逆行性健忘症の2種類あります。
前向性健忘症→あたらしいことが覚えられません。

逆行性健忘症→高次脳機能障害の発症以前に覚えたことを思い出せなくなり、比較的さいきんの記憶も障害されます。

・今日の日付がわからない
・物の置き場所を忘れたり
・新しい出来事が覚えられない
・何度も同じことを繰り返し質問する
・一日の予定を覚えられない
・自分のしたことを忘れてしまう
・人の名前が覚えられない

記憶障害のリハビリ・対応

①新しいことを覚えるためには・・・

・一度に覚える情報を少なくし、復唱して覚えるようにしましょう。
・言葉だけでなく、すでにしっていることと関連づけて覚える訓練をしましょう。
・正しいことを繰り返し行う練習方法が効果的です

環境を整えましょう
・いつも使う物は置く場所を決めて、使ったら戻す習慣をつけましょう。
・大切な約束や予定は目に付く場所に書いておくようにしましょう。

メモやカレンダーに記入することを習慣づけるようにしましょう

社会的行動障害症状

社会的行動障害とは、感情を適切にコントロールすることができなくなり、不適切な行動をとる状態です。
感情がおさえられなくなったり、逆に自発的に行動ができないなどの症状がみられます。

・すぐ怒ったり、笑ったり、感情のコントロールができない
・ギャンブルがすきになったり、お金を使ったり、欲求が抑えられない
・他人や物事に興味がない
・じっとしていられない

社会的行動障害のリハビリ・対応

周囲の人にも患者を責めないように協力をもとめましょう

②問題のおきるパターンを分析して予防するようにしましょう。

③やる気がない、自分から何かを始められない場合には・・・
・本人に対して「なまけている」と言わないようにしましょう。
・しなければならないことを具体的にしめしてあげましょう。

④感情のコントロールができない場合には・・・
・不適切な行動は怒ったりせず冷静に注意してあげましょう。

⑤行動がコントロールできない場合には・・・
・行動の前に一度確認するくせをつけらすようにしましょう。
・問題行動のきっかけになっている原因を探し、避けるようにしましょう。

失語症の症状

失語症とは、脳の損傷が原因で、読む、書く、話す、聞くなどの言語機能がうしなわれた状態です。
構音障害の失声では、大脳の言語の構成は可能なので、失語症にはふくまれません。

言語の障害にはさまざまな種類がありますが、代表的なものにBroca(ブローカ)失語Wernicke
(ウエルニッケ)失語
があります。

Broca(ブローカ)失語失語

人の話している言葉は理解ができますが、自分の話したいことを上手く言葉にできなかったり、なめらかに話せない。

(言葉の理解が困難な例もみられます。)
助詞、助動詞をぬかして電文のようなしゃべり方(電文体発語)のようになったり、音の一部をあやまったり
します。

Wernicke(ウエルニッケ)失語

なめらかに話しをすることはできますが、相手の話す言葉の理解ができません。
言葉の理解ができないため、しゃべっている言葉はでたらめで、聞いている相手は、何をいわれているのか
さっぱりわかりません。

失語症のリハビリ・対応

①ジェスチャーや絵など、非言語的コミュニケーションを利用しましょう。

②短い文や単語でゆっくり話しましょう。

③最初の文字をいうなどして、ヒントを与えましょう。

④日常会話に患者を参加させるようにしましょう。

高次脳機能障害の福祉と助成

精神障害者保健福祉手帳

高次脳機能障害の人も精神障害者保健福祉手帳の対象となることがあります
手帳の交付を受けることで自立した生活が送れるような社会保障があります。
高次脳機能障害の原因となった病気や怪我で、初めて受診した日から6ヶ月後に申請することができます。

障害福祉サービス

障害者自立支援法によって障害の種別にかかわらず、福祉サービスが受けることができます。
高次脳機能障害の人は手帳または診断書にて申請することができます。

自立支援医療(精神通院医療)

精神疾患で通院されている人への医療費助成制度です。
高次脳機能障害のための通院・リハビリが対象となることがあります。

重度心身障害者医療費助成制度

重度障害者の経済的な負担を軽減するための助成制度です。
高次脳機能障害の人は通院医療(高次脳機能障害以外の通院も含めて)が対象となります。

障害年金

年金に加入している人がけがや病気で障害者になった時、障害年金が支給されることがあります。
高次脳機能障害の原因となった病気や怪我で、初めて受診した日から1年6ヶ月後に申請することができます

リハビリテーションとチーム医療

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脳卒中などの脳血管障害が発症したあと、はやい時期から適切なリハビリテーションがおこなわれた場合、
ある程度まで機能を回復できることが多いといわれています。

実際に機能回復の程度や時期は、個人個人の症例によってちがいがありますがつぎのようなことが
おこなわれます。

リハビリテーション

急性期のリハビリ・・・筋力の増強や 関節可動域の訓練が中心となります。

回復期のリハビリ・・・食事、排せつ、入浴などの 日常生活動作の訓練が中心となります。

慢性期のリハビリ・・・就学や就労のための、 職業リハビリテーション等が行われます。

一般的には、4~6ヵ月程度で停滞状態にたっするといわれています。
しかし、これまでは成人の脳の機能は変化せず、損傷をうけた場合、完全な回復はのぞめないと思われて
いましたが、成人の脳にも可塑性があり、損傷後も変化がおこることがあきらかになりました

そのようなことから、脳損傷のリハビリテーションは、代償に重点をおいた方法から、可塑性的変化を
促し機能障害の改善を積極的にはかる方向へ大きく変わりつつあります。

可塑性とは…神経回路網やシナプス(神経と神経のつなぎ目)が、環境におうじて機能や形態を
変化させることをいいます。

代償に重点とは…たとえば、右手がつかえなくなったら左手をつかえるようにするなど。

脳卒中後の麻痺などにたいしては、半年移行でも経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激(TMS)治療によって
機能の改善がみられる可能性があるといわれています。

経頭蓋磁気刺激(TMS)治療

経頭蓋磁気刺激(TMS)とは、コイルをもちいて発生させた磁気により、頭蓋外から非襲撃的にニューロン
(神経と神経のつなぎ目)を刺激する方法です。

TMSを連続しておこなう反復(rTMS)治療と集中リハビリテーションの併用が、脳卒中慢性期の上肢の麻痺
や失語症に有効
であると報告されています。

チーム医療

リハビリテーション医療は、関連する専門職によるチーム医療が特徴です。
患者の抱えるさまざまな問題にたいして多方面からアプローチをして、問題の解決をはかり、めざすゴールに
むけての支援をします。

医 師
・疾患の診断と治療
・リハビリチームのリーダー
・リハゴールの設定をします。

看護師
・一般看護、ADL(日常生活動作)評価と訓練
・病棟でのリハビリ指導、監督
・患者、家族の心理サポート

栄養士
・再発予防、健康増進のための栄養指導

薬剤師
・医師の作成して処方せんにもとづいて調剤、説明

理学療法士
・運動機能の評価、訓練
・物理療法(温熱療法など)の施工、指導

作業療法士
・作業療法の指導、訓練
・ADL(日常生活動作)評価、訓練
・高次脳機能障害の評価、訓練

言語聴覚士
・失語、構音障害、摂食・嚥下障害などの評価、訓練
・高次脳機能障害の評価、訓練

臨床心理士
・心理状態の評価、心理療法
・患者、家族の心理的なサポート

義肢装具士
・義足、義手の製作
・装具の製作、適合

社会福祉士
・福祉に関する相談、助言、指導

医療ソーシャルワーカー
・患者、家族の社会的、個人的な状態改善にむけた調整、支援

介護福祉士
・入浴、排せつ、食事などの介護
・介護に関する指導

ホームヘルパー
・家事援助、介護サービス

上にあげた以外にも、多くの職種がかかわり、家族や患者の支援をおこないます。

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ライター紹介 ライター一覧

hamamoto

医学の大好きなHAMAMOTOです。
病気や健康について、皆さまに分かりやすく紹介していきたいと頑張っています!(^^)!
現在、鍼灸治療院を経営し、皆さまの健康にたずさわっています。
平成13年に整体師として治療院をしつつ、平成16年にアロマコーディネーターの
資格を取得しました。
鍼灸治療院を開業したのは、2016年5月ではございますが、患者さまの治療と
皆さまへの健康にかんする情報発信に頑張っていきたいと思っています!
鍼師免許 第171865号
灸師免許 第171571号
ウェブサイトURL:http://health-life.tokyo/
メールアドレス:koume3086@gmail.com

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