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【寝たきりの原因疾患の第1位の脳梗塞】脳梗塞の前兆、3つのタイプの原因や症状、合併症について説明しています。

脳血管障害
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脳梗塞とは、脳動脈の狭窄や閉塞により、脳に血液が行き渡らなくなって脳の組織が壊死に陥る疾患です。
障害部位によって、様々な神経症状をきたし、寝たきり原因疾患の第1位となっています。
食生活の欧米化に伴い若い人の発症の増加、または高齢化による発症の増加が予想されている疾患で
あるため発症予防とともに、早期リハビリテーションによるADL(日常生活動作)の向上や社会復帰が重要と
されています。

脳梗塞の前兆

脳梗塞になる全ての人に起こるものではありませんが、一過性脳虚血発作(TIA)という微小塞栓により一過性の脳動脈の閉塞によるものがあります。
TIAは「24時間未満に消失する、虚血による一過性の脳虚血症状」と定義され、多くは2~15分以内に改善し
来院時にすでに消失していることが多いことと、CT検査、MRI検査で急性の脳梗塞病炎はみられないため、
詳しい問診が最も重要です。

TIAの脳梗塞発症率

このTIAを発症すると90日以内に1~2割が脳梗塞を発症するといわれ、そのうち約半数は2日以内に発症する<といわれています。

TIAの病態

動脈硬化性病変や心臓内血栓からの微小塞栓による、一次的な脳血管の閉塞がおこり、線溶系(血栓を溶かして分解する)の作用などにより血栓が溶解し、血管が再開通することにより、数分~1時間(多くは2~15分以内)で局所症状が消失、改善する。

TIAの症状

TIAの症状は、血流障害がどの動脈に起きたかによって異なり、内頸動脈系椎骨脳底動脈系に分けて考え
られることが多い。

内頸動脈系

特徴

一過性黒内障(片眼の視力消失)
脳の障害と反対側の運動、感覚障害がみられる。
優位半球(多くは左側)の障害では失語がみられる。

運動障害

脳の障害と反対側の顔面、上下肢の脱力、麻痺、巧緻運動障害(食事、筆記など細かい指の動きが出来なくなる)

感覚障害

脳の障害と反対側の顔面、上下肢(全て、またはいずれか)のしびれ、感覚鈍麻

その他の症状

失語(優位半球のみ)、構音障害(発音が正しくできなくなる)

椎骨脳底動脈系

特徴

多彩な症状をきたす。
症状は一側から対側に移動する。または、両側性のこともある。

運動障害

一側または両側の顔面、上下肢の脱力、麻痺、巧緻運動障害(様々な組み合わせで生じる)

感覚障害

一側または両側の顔面、上下肢のしびれ、感覚鈍麻(様々な組み合わせで生じる)

その他の症状

体幹失調、回転性めまい、平衡障害、複視、嚥下障害、構音障害(単独で生じた場合はTIAの疑いでとどまる)
※両側性の症状があれば、椎骨脳底動脈系と考える。
一側性の場合は、内頸動脈系、椎骨脳底動脈系のどちらも考える。
構音障害、同名性半盲は内頸動脈系、椎骨脳底動脈系のどちらでも生じる。

脳梗塞の3つの臨床病型

脳梗塞には大きく分けて3つの臨床病型があります。
アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳塞栓症、ラクナ梗塞とありますが、その他に感染症、膠原病などによる
血管炎、動脈解離、血管疾患、原因不明のものなども脳梗塞にはあります。
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アテローム血栓性脳梗塞

頭蓋内、外の主幹動脈のアテローム硬化(動脈硬化)によって引き起こされる脳梗塞。
動脈硬化の進行する中高年に好発
CT検査、MRI検査、脳血管造影で血管狭くなったり、閉塞がみられ、ときに頸動脈超音波検査で
頸動脈が狭くなっているのがみられるものがアテローム血栓性脳梗塞といわれています。

典型的な症状

アテローム血栓性脳梗塞の症状の特徴としては、TIAの先行が約20~30%にみられ、安静時の発症が多く、
階段状、進行性に症状の悪化がみられることがある。

無症候気

高血圧、糖尿病、脂質異常症などの危険因子があり、血管のアテローム硬化が進む。
血管腔は次第に狭くが、血流は保たれていて症状はみられない時期。

TIAの先行(20~30%)

一過性の脱力、片麻痺、失語、しびれ、黒内障などの症状があり、数分~数時間で改善をときに繰り返す

アテローム血栓性脳梗塞・安静時に好発

起床時などに片麻痺、一側の感覚障害、構音障害などで発症。
血栓が大きくなり内腔を閉塞すると脳梗塞を発症。
安静時に発症することが多い(睡眠中に発症し、起床時に気付くこともある)。
血管の狭窄は徐々に進行するため、発症初期は比較的症状が軽いこともある。

アテローム血栓性脳梗塞・階段状、進行性に悪化

失語症、麻痺など様々な症状が出現する。
血栓が拡大した場合、側副血行路による血流が不十分であった場合には、階段状、進行性に症状が悪化する
ことがある。
※アテローム血栓性脳梗塞の中でも、塞栓性による発症の場合、アテローム内の出血や破綻により急激に発症
することがあるので注意する。

発症のしくみ

アテローム血栓性脳梗塞は、血栓性、塞栓性、血行力学特性 実際の脳梗塞の発症は、単一ではなく複合して発症する場合もあります。

血栓性

動脈硬化により狭くなった血管に血栓が作られ閉塞する。
緩徐に発症し、階段状、進行性に悪化する。

塞栓性

頸動脈などの動脈硬化部に血栓ができ、一部がはがれて塞栓子(血の塊)となって脳動脈に詰まる。
(動脈原生塞栓という)
急性に発症し、短時間で症状が完成する

血行力学性

主幹動脈の高度の狭くなった所があると、代償的に血管拡張や側副血行路(自然にバイパスみたいな血管が
できたもの)が生じたことにより、かろうじて血流が維持されている状態に、全身の血圧低下が起こると
脳血流が低下して起こる。
境界領域(各動脈の境界にあたり、動脈から遠い位置にある脳の領域)に起こりやすいため、境界領域梗塞 ともいわれる。
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心原性脳塞栓症

心疾患により、心臓内に形成された血栓の一部が血流にのり、脳の動脈に詰まって起こる脳梗塞を
心原性脳塞栓症といいます。
急激に発症し、突発的に症状が完成し、側副血行路(自然にバイパスみたいな血管ができたもの)に乏しいため
梗塞巣は大きくなりやすく、出血性梗塞の頻度もたかく、脳梗塞の3つの症状のなかで最も重症で予後不良といわれています。
CTA検査、MRA検査、脳血管造影で動脈硬化病変はないか、あっても軽度で心臓の血栓の一部が血流に
のってきたものによる脳の血管の閉塞像がみられることが多く、心エコーで心臓内に血栓が認められる。

典型的な発症と症状

おもに日中の活動時に好発

TIAが先行することはあるが、アテローム血栓性脳梗塞ほど頻度は高くない

突発的に完成

塞栓により突然血流が途絶えるため、突然発症し短時間で症状が完成する。
失禁、頭痛、片麻痺、一側の感覚障害、失語、意識障害など重篤な症状をあらわすことが多い。

誘因となる心疾患

不整脈、弁膜症、心房細動、洞不全症候群、左房粘液腫、ペースメーカー、感染性心内膜炎、人工弁
非細菌性血栓性心内膜炎、心筋症、急性心筋梗塞(特に発症後1か月以内)などの心疾患が存在することが
多い。
その他、心臓以外の部位に形成された血栓が心臓を経由して血流にのって脳の動脈にいくものもある。
(奇異性脳塞栓症という)

血栓が溶けておこる変化

心原性脳塞栓症では、突然の血管の閉塞に対して、線溶系(血栓を溶かして分解する作用)の亢進などが
起こり、詰まった血管が再開通することがしばしばみられる。

再開通がごく早期(発症後数時間以内または、脳組織がもとに戻らない状態になる前)に起こると
症状が劇的に改善することもあります。
しかし、すでに梗塞が起こってもろくなってしまった血管に、再開通によって血流が流入すると、血液の
露出や出血が起こって、ときに症状が悪くなる場合もあります。(出血性梗塞という)
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ラクナ梗塞

脳動脈の細い枝に起こる15mm未満の小さな梗塞のことをラクナ梗塞といいます。
高血圧を有する高齢者に多く、以前は脳梗塞のタイプのうち最多だったが、近年は血圧の管理により減少傾向。
生命予後は一般的に良好だが、多発すると脳血管性認知症やパーキンソン症候群の原因となることがあります。

一般的な症状

症状は運動麻痺のみ、感覚障害のみなど比較的軽いことが多く、症状のない無症候性のこともあります。
大脳皮質に病変がないため、意識障害や失語、失行などの皮質の症状、けいれんなどはみられません。

運動障害

脳の障害と反対側の顔面、上下肢の不全麻痺

感覚障害

脳の障害と反対側の顔面、上下肢の感覚障害

構音障害

発音が正しくできない

繰り返したり多発すると

脳血管性認知症やパーキンソン症候群などの原因となる。

ラクナ梗塞の発症のしくみ

主な発症のしくみとして、リポヒアリン変性と微小アテロームによる閉塞があります。

リポヒアリン変性による閉塞

高血圧が続くことによって、脳動脈の細い枝の末梢部あたりで血管の壁の変性がおこりが閉塞する。
小さい梗塞巣(直径3~7mm)
症状のまったくない無症候性のこともある。

微小アテロームによる閉塞

脳動脈の細い枝に微小アテローム(動脈硬化)が形成され、血管が閉塞する。
比較的大きい梗塞巣(多くは直径10mm)
高血圧、脂質異常症、糖尿病などが危険因子

ラクナ症候群とは

ラクナ梗塞は発症の部位によって、特徴のある症候群を呈することがあり、これらをラクナ症候群といいます。
現在、広くしられているラクナ症候群として次の5種類があります。

純粋運動性不全片麻痺

【症 状】
顔面下部と脳の障害とは反対側半身の不全片麻痺。
舌をまっすぐに突き出そうとしても、脳の障害とは反対側にかたよる。
構音障害(発音が正しくできない)

純粋性感覚性脳卒中

【症 状】
脳の障害とは反対側半身の感覚障害、または手口感覚症候群
(手口感覚症候群:一側の手掌と口角のまわりに限局したしびれ感、異常感覚をおこすものをいう。)

運動失調性不全片麻痺

【症 状】
顔面下部と脳の障害とは反対側半身の軽い不全片麻痺。
運動失調(測定障害(歩いていても行きすぎたりする)などの小脳失調症状)

構音障害ー手不器用症候群

【症 状】
構音障害(発音が正しくできない)
脳の障害とは反対側の巧緻運動障害(食事、筆記など細かい指の動きが出来なくなる)

感覚運動性脳卒中

【症 状】
純粋運動性不全片麻痺と純粋感覚性脳卒中の両方の症状がでる。

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脳梗塞急性期の合併症

脳梗塞急性期には、全身に様々な合併症がおこります。
脳に対する治療と並行して、合併症の予防や治療が必要です。
肺炎、尿路感染症、消化管出血、心血管系合併症(虚血性心疾患、心不全、不整脈など)
深部静脈血栓症、肺塞栓症、床ずれ、関節の拘縮(拘縮とは関節の動きが制限されること)

これらの合併症や後遺症を防ぐためにとても重要なことは、発症後早期からリハビリテーションを行うこと。 脳梗塞をおこし半年すぎると慢性期になり、再発予防と合併症・後遺症の軽減が重要とされていますが、
リハビリテーションを頑張ったとしても、もと通りの身体になることはきわめて難しいのが現実です。
日頃からの血圧や糖尿病などの基礎疾患の管理、生活習慣を見直すなどして発症予防を心がけましょう。

ライター紹介 ライター一覧

hamamoto

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医学の大好きなHAMAMOTOです。
病気や健康について、皆さまに分かりやすく紹介していきたいと頑張っています!(^^)!
現在、鍼灸治療院を経営し、皆さまの健康にたずさわっています。
平成13年に整体師として治療院をしつつ、平成16年にアロマコーディネーターの
資格を取得しました。
鍼灸治療院を開業したのは、2016年5月ではございますが、患者さまの治療と
皆さまへの健康にかんする情報発信に頑張っていきたいと思っています!
鍼師免許 第171865号
灸師免許 第171571号
ウェブサイトURL:http://health-life.tokyo/
メールアドレス:koume3086@gmail.com

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