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不妊治療が必要かな?と思った時は不妊についてしっかり勉強しましょう

不妊症 女性の疾患
この記事は約 36 分で読めます。 56 Views

子どもが欲しいと思っても、なかなか恵まれない女性は多くいます。

平成14年度の厚生労働省の資料では、「不妊治療」を受けているカップルの数は、46万人を超えていて
不妊症に悩む夫婦の数は年々増加しています

不妊症と一言で言っても、その原因は体質だったり、パートナーとの相性だったり、生活習慣だったりと
人によって様々だったりします。

しかし、妊活中は、不妊治療自体がストレスとなり、かえって妊娠しにくくしてしまうこともあります。
妊活は、女性一人ががんばっても成功しません。
夫婦で生活習慣を見直し、協力しあうことで、妊娠できたカップルも少なくありませんので、不妊症について
しっかり勉強することが必要なのです。

不妊症ってどういうこと?

不妊症の定義は、「夫婦が妊娠を希望し2年以上性生活をおこなっているにもかかわらず妊娠しない場合」と
されています。
しかし、この定義がつくられた時代にくらべて現代では結婚年齢があがり、高齢になるほど妊娠しにくく、
治療効果もえられにくい傾向にあるため、妊娠の機会をのがさないよう、1年を過ぎた段階で妊娠しないとき
には、 不妊検査を受けることが推奨されています

一般に結婚を考える年齢で、避妊をせずに性交渉を行ったときには、だいたい結婚して半年で7割1年で
9割2年で10割が妊娠するといわれています。

しかし、30代に入ると妊娠できる確率は徐々に減少し、35歳を過ぎるとさらに確率が低くなってしまうのです。
そのため、30代で初めての妊娠を目指す夫婦は、できるだけ早めに不妊検査を受けるほうがよいといわれています。

およそ10年間で、母親の年齢が35歳以上の出産の割合は倍増していて、35歳以上での出産の割合で約2倍
40歳以上での出産の割合で、約3倍と増加しています。
それには、晩婚化という問題が背景にありますが、子宮内膜症や子宮筋腫など不妊症の原因となる病気の増加
も影響をあたえているといわれています。

また不妊症には、原発性不妊続発性不妊の2種類あります。
・原発性不妊…妊娠の成立が1度もないものをいいます。
・続発性不妊…過去に妊娠の成立があるものの、その後妊娠の成立がないものをいいます。

これらの不妊には、男性に原因がある男性不妊と女性に原因がある女性不妊があり、ともにそれらを引き
おこす原因はいろいろあるのです。

病気との違い

一般の病気というのは頭が痛いとか何か症状があって医療機関にいき、それによって検査をして、原因が
わかって、飲み薬をもらうなどの治療をします。

子宮筋腫などの病気で、生理の量が多く、ひどい生理痛をともなうものであれば、医療機関を受診して
不妊の原因がわかる場合もありますが、そのような病気がひそんでいない場合の不妊の場合は、根本から
ちがってきます。

普段から生理痛もなく異常を感じていない人ならば、痛みも不快感もなく医療機関を受診します。
そのような場合は、検査でわかることはあまりに少ないため、原因の特定がむずかしいのです。

精子も卵子も異常がないのに受精できない時もあるし、細胞分裂しないこともあります。
排卵があっても、卵子が入っている袋(卵胞)の中の卵子がすでに変性していることもあります。
ですから、どの段階に異常があっても不妊の原因になるのです。
それを排卵障害とかピックアップ障害、受精障害、卵管障害、着床障害といった呼び方をします。

また、卵自体の問題もあります。卵の質が落ちていて、赤ちゃんまでいけない卵、染色体異常が
いっぱい発生する場合もあります。

しかし、不妊症に関しては、検査の結果は正常だったり、不妊の原因までは特定できないことがあります。
そのような不妊症を原因不明不妊症(機能性不妊症)といい、不妊を訴える夫婦の10~20%にみられます

不妊治療の大まかな流れ(ステップアップ)

不妊治療の基本的な流れは、簡単な治療から順にステップアップしていきます。
このように徐々に治療の段階を進めることを「ステップアップ治療」といいます。

検査で不妊原因が見つかればそれを治療する必要がありますし、同時に妊娠の可能性を高める治療も
必要です。

 「原因の治療」+「妊娠の可能性を高める治療

原因が、排卵しにくいからだとすると、排卵誘発剤を使って排卵をおこす治療をします。
一方、妊娠の確率を高める治療では、排卵誘発剤を使って数多く排卵をさせる方法があります。
また、排卵日を予測するタイミング法や人工授精は、精子と卵子を出会いやすくして妊娠の可能性を高める治療です。

不妊の原因は1つではないことから、「原因の治療」+「妊娠の可能性を高める治療」の両面からの
アプローチが、妊娠への近道といえます。

【一般的な治療の流れ】

タイミング指導

卵巣刺激

人工授精

体外受精または顕微(けんび)授精

1つの治療法を3~6周期おこなうことが多いのですが、ステップアップのタイミングは、不妊の原因や
女性の年齢、そして夫婦の希望によりちがってきます。
医師はそれらを考慮して治療を提案するので、夫婦でよく話し合って決めることが大切です。

不妊かな? と心配になり出したら…

まずは、自分たちの状態を正しく把握することからはじめましょう。
たまたま「妊娠しづらくなっている」という場合もありますし、もしかすると、妊娠を妨げる原因があって、
不妊治療を受けなければ「妊娠できない」状態なのかもしれません。または、年齢の影響で時間がかかって
いるだけの場合もあります。。

このように、ひと言で「不妊症」といっても、その原因や程度、状況は、それぞれの夫婦によって全くちがう
というわけです。

不妊症かな?と心配になり出したら、まずは基礎体温の測定をしてみましょう
基礎体温の測定体調の変化に気づける早道です。
排卵の有無の確認や、黄体機能の推測ができますし、周期を把握することで、医療機関でほかの検査の
実施計画を立てることにも、役立ちます。
現在では、スマートフォンのアプリなどで基礎体温をつけることもできるため、試してみるのも一つです。

妊娠するまでにどれくらい時間がかかるのか?

不妊治療を始めてから妊娠できるまでの期間は、人によって本当にさまざまです。
妊娠は健康な夫婦でも簡単なものではないため、これくらいで妊娠できると言うことはできませが、
不妊治療を始めるにあたっては、どうしても「いつ妊娠できるの?」ということが気になるものです。

不妊治療を行っている病院では、治療の成果を公表しているところも多くあります。
そのなかの、ある病院では、不妊治療をした女性のうち、初診からの2年間で61%の患者が妊娠したとされています。

不妊治療は、まず原因を探るための検査から始まりますが、生理周期に合わせてすべての検査をするには、
半年程度、かかります
その後、問題がなければタイミング法をおこないます。
タイミング法での治療効果が期待できるのは、6回目までであるといわれていますが、6回ということは、月に
一度規則的に排卵が起こったとしても半年ですから、この時点で約1年が経過します。

タイミング法で結果が出なければ、人工授精を行います。
こちらも6回を目安に次のステップに進むことが多いため、検査、タイミング法、人工授精を合わせると、
ここまでの期間は1年半。

その後は体外受精、顕微授精へ進みます。
ここからは、検査や準備の期間が長くなるため、周期ごとではなく、1年に3回〜4回が治療の目安となります。
多くの病院が公表しているデータを見ると、体外受精、顕微授精では、3回目までの妊娠率が高くなっています
この結果をもとに考えると、不妊治療を初めてから最終的な段階までステップアップして妊娠するのに、
2年〜2年半
かかることがわかります。

しかし、これはあくまでも平均的な回数の治療をスムーズに行った場合。
実際は、不妊の原因や女性の年齢、夫婦の希望などを考慮し、医師と話し合った上で治療を進めていくことになります。

自然妊娠がむずしいと判断される場合や、女性の年齢が高い場合には、すぐにでも体外受精をすすめられる
ケースがありますし、夫婦が積極的な治療を望まない場合は、タイミング法で様子を見ることもあります。
そのため、不妊治療を始めるにあたっては、まず不妊の原因を知り、年齢や希望をもとに、治療をどう進めて
いくかを決めることが大切です。
それによって治療にかかる期間は違ってきますから、「いつ妊娠できるのだろうか」という不安を少しでも
軽減するためにしっかりと検査を受けることからスタートしましょう。

また、医療機関によっても、治療方針はかわってきますので、もし可能であれば、ご自分が通いたい病院の
治療成績などをホームページで確認してみるといいかもしれません。
実際に、その病院でどれくらいの人が、どんな治療を受けて妊娠したのかを確認すると、より正確に治療
期間を想像することができるでしょう。

確率から見た妊娠するということ

健康な若いカップルが排卵期に性行為をもったとしても、1周期あたりの妊娠率は30%と言われています。
つまり、妊娠を願ってどんなにがんばったとしても70%は実を結ばないというわけです。

1周期あたりの妊娠率が低くても、累積(努力の積み重ね!)をすれば、徐々に妊娠率は上がってきます。
そのような妊娠率のことを累積妊娠率といいます。
1周期の妊娠率が30%だとして、妊娠しなかった残りの70%のカップルが次の周期でまた30%が妊娠し、
それでも妊娠しなかったカップルが次の周期でと考えていけば、妊娠率は限りなく100%に近づくはずです。

ところが残念ながら現実には累積妊娠率は100%になることはなく、避妊をしていない健康な若いカップルの
累積妊娠率は1年目で80~88%2年目で90%強といったところです。
そして、その後の累積妊娠率は“頭打ち”の状態で、なだらかに平行線をたどってしまいます。
この結果、子供に恵まれないカップルが存在することになるのです。

また別の見かたをし、他の哺乳動物と比べてみますと、ヒトの妊娠率は格段に低い確率なのです。
たとえば、ネズミがほぼ100%近く妊娠することは知られていますが、人間に比較的近いとされる
チンパンジーでは70%近くが妊娠するといわれています。
生物学的な面から見ますと、ヒトは妊娠しづらい動物だといえるのです

その一方で、周期あたりの妊娠率、すなわち妊娠するまでにかかる期間は、女性の年齢に大きく影響されます。
35歳あたりから、妊娠率はさがり始め、流産率が高くなってくるのです
高齢になるほど、不妊症の頻度が増えるだけでなく、もっとも進んだ治療法の体外受精、顕微受精
(けんびじゅせい)をおこなっても、高齢になればその成功率は下がってしまうのです。

そのため、健康上は問題のないカップルでも、女性の年齢によって、妊娠のしやすさは左右されることがわかります。
そして、晩婚化や晩産化の影響で、子づくりをはじめたときには、すでに「妊娠まで時間がかかる年齢」に
なっていて、「なかなか妊娠しない」と感じる人が多くなっているのです。

不妊症の原因

妊娠力に影響を及ぼすもの

卵子と精子が出会えばかならず受精するというものではありません。
受精するための力のある卵子と精子でなければ受精できないのです。
また、受精卵が子宮内膜まで到達できればかならず着床できるのではなく、受精卵そのものが元気かどうか、
そして子宮内膜の環境が着床に適した状態かが大切なのです。

男性は、毎日新しい精子がつくられています。
しかし、女性の場合は、生まれる前に卵巣内に約200万個の卵子がそなわっていて、それ以上、新しく
つくられることはないのです

その後は減る一方で、月経のはじまる思春期頃までには、約180万個が自然消滅し、約20万個にまで
減ってしまいます。
そして、月経がはじまってからは、一回の周期に約1000個、1日に換算すると30~40個も減り続ける
と言われています。
さらに、30代半ば以降はそれに拍車がかかり、37歳で約2万5千個、そして、閉経をもってゼロになって
しまうのです。

人間の体は「老化」をします。
それは、卵子もおなじことで、数が減ってしまうだけではなく、卵子の質も低下します
つまり、卵子は加齢の影響をそのままうけているのです。

このようなメカニズムによって、年齢が高くなるほど、排卵はしていても質のよい卵子が排卵されることが
少なくなっていきます。
これが、年齢とともに妊娠率が低くなる、最も大きな理由です。

また、人工授精や生殖補助医療についても、若い女性では、採卵した卵子のうち良質な割合が高く、高齢に
なるほど良質な卵子の割合が低くなるため、高齢女性では採卵はしたけれど、良い胚発生がえられない
場合があり、胚移植はキャンセルとなることも増えてくるのです。

はやく、確実に妊娠するという点からいえば、女性が若いうちに、できるだけ早く子づくりを始めるほうが、
また、できるだけ早く不妊治療をスタートするほうが、有利なのです。

これまで、卵巣機能や卵子の質は年齢とともに低下することが、妊娠率を低くすると説明しましたが、
もう一つ、大切なことが、卵巣予備能です。
卵巣予備能とは、その女性の卵巣が妊娠するためにあらかじめ備えている能力や、卵巣刺激にどのくらい反応
するかという能力です。

卵子の数は、年齢ももちろん大事ではありますが、個人差も大きく、若くても卵子がなくなってしまうこともあります。
卵子が少なければ妊娠率は低くなりますし、排卵誘発剤などに対する反応もにぶくなります。
年齢だけを判断するのではなく、それぞれの女性の卵巣予備能もとても大事なことなのです

その卵巣予備能の検査は「卵巣年齢を測る」といわれることもあります。
卵巣予備能は、血液に含まれる抗ミューラー管ホルモン(AMH)などで評価し、それによって、適切な
治療計画がたてることができたり、卵巣刺激法の工夫をおこなうことができるのです。

女性の結婚年齢が高くなっている現代、妊娠する力がすでに低下した年齢から子づくりをスタートすることに
なります。
あきらかな不妊の原因がなくても、加齢による卵巣機能の低下(卵子の老化)によって妊娠しにくい女性が
増えているといえます。
このように、“妊娠適齢期”と”妊娠希望年齢”のギャップが、現代型不妊症の主な原因であると言えます。

また、お仕事の都合や、家庭の事情により、今は妊娠できないけれども、数年後に妊娠を考えているという
ような女性はとくに、自分の卵巣予備能を把握して、人生設計を立てることをおすすめします。

セックス

妊娠するには、セックスをすることが大前提です。
そして、その回数が多ければ多いほど、妊娠の確率がアップします

ただ、実際に不妊治療をしているカップルの中には、そもそもセックスの回数が少ない人も多いようです。
排卵日だけにすれば良いというものではなくて、セックスの頻度が多い方が妊娠率は高まるといわれています。
これは精神的なものが妊娠に影響を与えているという部分もあるようです。
「排卵日に限らず、なるべく多く」というのが妊娠するためには理想のようです。

セックスの回数と妊娠の確率を調べたアメリカの研究があります。それによると、毎日セックスした場合では
1周期あたりの妊娠率は37%、1日おきでは33%でした。
これが週に1回になると、15%におちています。

このように、セックスの回数が多ければ多いほど、妊娠の確率が高くなることがわかります。

禁欲期間が短いほど精子の質は高くなる

「セックスの回数を増やすと、精液中の精子の数が減ったり、運動率が悪くなって、妊娠には逆効果では?」
と心配するカップルは少なくないようです。

以前はそのように考えられていましたが、。現在では、男性の禁欲期間は短いほど精子の質が高まり、妊娠の
確率 も高くなるとわかっています。
逆に5日以上の禁欲期間では、精子数が減ってしまうこともあきらかになったのです。

男性6008名から述べ9489件の精液サンプルを集めて、禁欲期間と精子の質の関係を調べたイスラエルの
研究があります。
精子濃度が低いグループと正常なグループの2つに分けてくらべてみると、次のような結果が出ました。

• 精子濃度が低いグループでは、禁欲期間1日の場合にもっとも精子運動率が高くなり、それ以降は下がっていく

• 精子濃度が低いグループでは、禁欲期間0~2日の場合に、正常な精子の数がもっとも多くなる

• 精子濃度が正常なグループでは、禁欲期間10日目以降から精子の運動率が下がり、奇形率が上がっていく

この結果から、「精子の元気が足りない男性は、禁欲するよりむしろ頻繁に射精すべきで、精子の状態が良い
男性であっても、10日以上の禁欲期間は精子の質を低下させる」ということです。

精子の質と禁欲期間の関係については、連日射精したほうが精子の運動率が高まるという別の研究もたくさんあります。

精子は溜めたほうがいいというのは昔の話。今では、妊娠したいのなら射精回数を増やすべきという常識に変わっています。
排卵日前に3日間ほど禁欲して、万全の精子で排卵日を狙う!という方法も間違っていたわけです。
体力や筋力が使わないとおとろえるのと一緒で、生殖能力というのも使わないとおとろえるし、使えば
使うほど鍛えられるということでしょう。

また、人工授精の妊娠率も、禁欲期間が2日以下の場合が、3日から5日や5日以上の場合にくらべて
高かったとの研究報告もあります。

排卵日の2日前が最も妊娠率が高くなる

セックスのタイミングも、妊娠の確率に影響があります。

もっとも妊娠しやすいのは排卵日ではありません。
女性が妊娠の可能性があるのは、1周期のうちに6日間ほどあります。
その6日間の中でも、排卵の4日前から妊娠の可能性は高くなるのですが、排卵日の2日前から排卵日前日が
もっとも 妊娠しやすくなり、排卵日当日にはすでに妊娠率は低下してしまうのです

性交した日と妊娠率の関係を調べた2つの研究があります。
周期中に1回性交した場合、排卵日の1日前がもっとも妊娠率が高くなっています。
また、周期中に複数回性交した場合には、排卵日の2日前が最も妊娠率が高くなっていて、いずれも排卵日
には妊娠率が低下しているのです。

排卵時期をねらってセックスをする「タイミング法」に試してみようという人は、こうしたことを正しく理解
して目安にしてみて下さい。

ライフスタイル

良い卵子と良い精子があって初めて良い受精卵(胚)ができます。
卵子も精子も良くすることはできませんが、悪くしないように気をつけることはできます。
そこで、妊娠に向けて自分自身でできること(悪くしないこと)としてライフスタイルの改善を紹介します。

肥満・やせ過ぎは不妊の原因に!
「太り過ぎ」や「やせ過ぎ」は、ホルモン分泌のバランスが悪くなり、妊娠のためにはよくありません。

肥満度を調べるには、BMIという指標を使います。
「BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m)」

BMI 肥満度
18.5未満 低体重
18.5以上~25未満 適正
25以上~30未満 肥満度1
30以上~35未満 肥満度2
35以上~40未満 肥満度3
40以上 肥満度3

BMIが男女とも「22」のときに最も病気にかかりにくくなることから、BMIが22となる体重を標準体重
としています。

女性の場合では肥満によって、男性ホルモン増加無排卵の原因となります。
一方、男性では、肥満による精巣温度上昇が精子形成低下に関係するとともに、女性ホルモン増加が関係する
のではないかと考えられています。

デンマークで、2006~2010年に生殖補助医療をおこなった女性12,566名に、男女のBMIが生殖補助医療の
妊娠に与える影響を調査しました。
規則正しい排卵周期がある女性で、BMIが25以上の人と、正常体重の人をくらべると正常体重の人のほうが、
体外受精の成功率は0.88倍高くなりました。
また、夫婦ともにBMIが25以上の場合がもっとも体外受精での成功率が低いという結果がでました。

しかし、規則正しい排卵がある女性の体外受精の場合には女性のBMI増加により成功率が低下しますが、
顕微受精、(けんびじゅせい)の場合排卵がない女性の場合、男性の場合には、BMIの影響が大きくあらわれ
にくいという結果もでたのです。

BMIの影響が大きく現れない理由には、男性の場合、BMI増加に伴う精子の状態の悪化は、顕微授精
(けんびじゅせい)そのものの方法によりカバーされるからと考えられます。
一方、排卵がない女性の場合にBMIの影響が大きくあらわれない理由は、排卵がない女性はBMIが高い人と
低い人の両方いるということが考えられます。
しかし、排卵がない女性と男性の人数が少ないため、もっと大規模な検討が必要ともいわれています。

肥満は現代病のひとつでもありますが、妊娠を目指す男女ともに、健康の観点からも、妊娠のしやすさの
観点からも、BMIを25未満にするように心がけましょう。

また、やせ過ぎの女性は、月経不順無排卵の危険があります。
極端なやせや無理なダイエットをすると、脳の司令塔が生命維持のために働き、生殖にかかわるホルモンの
指令が後回しになってしまい無排卵や月経不順をおこしてしまうのです。
また、妊娠したら胎児に十分な栄養がいきわたらないというリスクもあり、低栄養で生まれた子どもが生活
習慣病になりやすいことは、最近話題になっています。

喫煙は妊娠しづらくさせ、流産の確率を高める
タバコを吸う人は、吸わない人にくらべて不妊症になるリスクが高くなりますし、妊娠するまでに長い期間が
かかり、流産や子宮外妊娠のリスクも高くなります

妊娠した後の喫煙は、低出生体重児や早産を招きやすいことがわかっています。
本人が喫煙していなくても、タバコを吸う家族がいる家庭では、乳幼児突然死症候群の発生率が高まるとされています。
一方、受動喫煙も妊娠する力を低下させ、体外受精の治療成績を低下させるとの報告があります。

アルコールは適量を楽しみ、大量の飲酒は避ける
アルコールについては、女性の妊娠する力への影響は、はっきりしていません。適量のワインは
妊娠しやすくなるとの報告もありますが、だからといって無理に飲む必要もありません。
アルコールと妊娠についていくつかの調査がされていますので紹介します。

・7393名のストックホルムの女性のアルコール消費量と不妊について調査した結果、1日2杯(単位)、
以上飲むと1日1杯以下の人とくらべ妊娠率は0.64倍になりました。

・29844名のデンマークの妊娠女性の妊娠までの期間は、赤ワインを飲む人の方がアルコールを全く
飲まない人より短くなっていました。

・1769名のイタリアの女性では、アルコール消費の有無で妊娠率に違いはありませんでした。

これらの結果から、1日2杯(単位)以上のアルコールは避けた方がよいされてはいます
妊娠中のアルコールはもちろん一切禁止です。
胎児の発生に安全というアルコールレベルはありません(ゼロにするしかありません)。

【アルコールの目安】
アルコールの摂取量が多くなるほど妊娠率が低下します!
また、1日のアルコールの摂取の適量は20gで、週に2日は休肝日をといわれていますので、1週間では
20g x (7ー2) = 100gとなります。アルコール20gを1単位と考えています。

アルコール量(g)=アルコール度数 x 飲酒量(mL)x 0.8ですので、1単位の目安は、、、
アルコール度数5%のビール  500mL(1缶)
アルコール度数5%の缶酎ハイ 500mL(1缶)
アルコール度数12%のワイン 208mL(1/4本)
アルコール度数14%の日本酒  178mL(1合)
アルコール度数20%の焼酎  125mL
アルコール度数40%のウイスキー 62.5mL(ダブル1杯)
となります。

いずれにしても、男女ともに大量の飲酒は避けるべきだといわれています。

カフェイン入り飲料を飲み過ぎない
カフェインの過剰な摂取は、妊娠する力を低下させ、流産しやすくさせるとの意見があります

たとえば、1日に5杯以上のコーヒー、もしくは、カフェイン500mg以上を飲むと不妊症リスクを45%
高め
、妊娠中に1日に200〜300mgのカフェインを摂ると流産しやすくなるとの報告があります(奇形率は増加しません)。

カフェイン入りの飲料は、1日にせいぜい1〜2杯程度にとどめるほうが良いでしょう。

メカニズムからみた妊娠するということ


体のしくみや妊娠のメカニズムを正しく理解することは、妊娠のチャンスにつながる第一歩です。
女性のカラダ
女性の生殖器の多くは骨盤内にあり、妊娠に直接的に関わっている器官は、卵巣卵管子宮です。

生まれる前から卵子を保管し、排卵に向けて卵子を成熟させる卵巣。
精子をむかえ入れる腟と、精子や受精卵の通り道となる卵管。
ラッパのような形をした卵管采(さい)は卵巣から排卵された卵子を取り込みます。
子宮には受精卵が着床して、胎児を育てます。

男性のカラダ

精子をつくり、腟内に送りこむのが男性の生殖器官の役割です。
精巣で精子がつくられ、精巣上体で成熟します。
射精が起こると、精嚢(せいのう)や前立腺から分泌された精液とともに、精管、尿道を通って、体外に放出されます。

妊娠が成立するメカニズム

女性は、ホルモンの濃度が約1ヵ月周期で変化することによって、ほぼ1カ月のサイクルで排卵と月経を
繰り返し、妊娠の準備をしています。
そして、射精・排卵・受精・着床という妊娠のプロセスのすべてがととのって妊娠となります。
その妊娠までのプロセスを紹介します。
[精 子]性交渉によって、腟内に射精された精子は、子宮頸管というところを通り、子宮内から卵管へと進みます

[排 卵]月経が始まる頃には、卵巣の中に約20個の卵胞があらわれ、その中の1個だけが約2週間で
20mmほどに成熟して、卵巣の表面から飛び出します(排卵)。
↓
[卵管へ]卵巣から飛び出た卵子は、卵管采から卵管に取り込まれます

[精 子]卵管膨大部にたどり着いた精子は、排卵される卵子を待ちます。

[卵 子]卵管に取り込まれた卵子は、卵管膨大部で精子と出会います

[受 精]たくさんの精子が卵子を取り囲み、その中の1個の精子が卵子の中に入ります。
その瞬間に卵子にバリアが張られ、他の精子は入れなくなります。

[受精卵]卵管膨大部で受精した受精卵は、2細胞、4細胞、8細胞、桑実胚へと細胞分裂をしながら、
約4日くらいかけて、子宮へ向かいます

[着 床]子宮内にたどり着いた受精卵は、排卵から約1週間で、胚盤胞という状態になり、子宮内膜
にもぐり込んで着床します


[妊 娠]着床後、さらに細胞分裂を繰り返します。
受精から3週間後には、超音波検査で胎嚢(たいのう)が確認できるようになります。

妊娠にかかわるホルモン

人の子供から大人になる過程で、身体的にも性的にも成長しますが、性的な成長をコントロールする
重要な役割をするのが性ホルモンで、女性ホルモン男性ホルモンがあります。

男性ホルモンの代表的なものはテストステロンで、精子の形成や男性生殖器の発達に関係します。

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、
卵巣から分泌されます。
エストロゲン…子宮の発育や乳腺の発達などに作用

プロゲステロン…子宮内膜の状態を調整

その他、妊娠に関係するホルモンとして、脳(視床下部)から分泌するものにつぎのようなものがあります。
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)…黄体形成ホルモンの分泌をうながす

卵胞刺激ホルモン(FSH)…卵胞の成長をうながす

黄体形成ホルモン(LH)…排卵を引きおこさせる・プロゲステロンの分泌をうながす

排卵や妊娠に向けてこれらのホルモンが、女性のカラダのなかで働いています。

妊娠するための排卵と月経のサイクルは、分泌されたさまざまなホルモンが血流にのって、それぞれの
器官に働きかけることでおこります。
そのホルモンが妊娠に働きかける流れを紹介します。

【妊娠を指揮するホルモンの流れ】
・月経の時期に、脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が分泌され、下垂体に、
卵胞刺激ホルモン(FSH)を分泌するように働きかけます。

・指令を受けた脳下垂体は 卵胞刺激ホルモン(FSH)を分泌し、卵巣に、卵胞を成熟させるようにうながします

・卵胞刺激ホルモン(FSH)に刺激された卵胞は成熟しつつ、卵胞ホルモン(エストロゲン)を分泌します

・エストロゲンの作用で、子宮内膜が厚くなり、頸管粘液(膣内に射精された精子が子宮内へと進むのを
促してくれる)が分泌されるようになります。

↓ 卵胞が大きくなり、エストロゲンの分泌が十分な量になる

・視床下部が、脳下垂体に黄体化ホルモン(LH)を大量に分泌させる(LHサージ)

・卵巣に排卵するようにうながす

LHサージの刺激により、排卵が起こります。

・卵胞は黄体に変化する

そこから黄体ホルモン(プロゲステロン)とエストロゲンが分泌される


これらのホルモンの働きで、子宮内膜はより厚さを増し、受精卵が着床しやすい環境を整えます。

妊娠を妨げる原因になるもの

なかなか妊娠しないのは、どこかに問題があったりと色々な原因があるにもかかわらず、現在の医学
では、まだ解明されていない部分が多いのも現状です。
ここでは、プロセスで見る不妊の原因を紹介します。

内分泌・排卵の問題
内分泌系の問題は、妊娠までの全経過に影響をあたえます
・卵子がうまく育たない
・排卵しない、排卵しにくい
卵子はホルモンの指令によって成長しますが、このホルモンの分泌量が少なかったり(卵巣機能不全)、
卵巣が指令をうまく受け取れないと、卵子がうまく育ちません。
過度のダイエットや肥満、ストレスが原因になることがあります

また、加齢とともに持って生まれた卵子の数が減り、卵子そのものも老化、卵巣の機能もおとろえます。
そのため年齢が高くなると、ちゃんと排卵される確率が落ちていきます。

卵子が育っているにもかかわらず、卵巣から飛び出すことができない「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」の
問題もあります。
超音波検査で見ると、卵巣にたくさんの卵胞が見えるのが特徴です。
ホルモンバランスに異常があり、月経不順や無月経、毛深いといった症状がみられることもあります。
太り気味、男性ホルモン値が高い、血糖値が高い人に比較的多く見られます。

また、黄体ホルモンの分泌が足りない「黄体機能不全」では、子宮内膜が厚くならず、着床しにくくなる
ことがあります。

その他にも、プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)というホルモンが過剰に分泌される「血症」高プロラクチン
や、卵子が排卵されずに卵巣で黄体化してしまう「LUF(黄体化未破裂卵胞)」などでも排卵障害が起こる
ことがありますが、多くは原因不明です。

卵管の問題
卵管に問題がある不妊は、女性側の原因のなかでもっとも多いとされています。(30~40%)
・卵管が詰まっている、通りにくい、うまく働かない
・排卵した卵子をキャッチできない

卵管は精子の通り道でもあり、精子と卵子の受精の場、そして受精卵が子宮に到達するための移動通路です。
・その通路が詰まっている(卵管閉塞)、
・癒着(ゆちゃく)などで狭くなっている(卵管狭窄:らんかんきょうさく)
・卵管液がたまって卵管(膨大部)が拡張した状態(卵管留水症
このような状態から、精子と卵子の出会いが妨げられます。
左右の卵管とも閉塞していれば、自然妊娠はむずかしくなります

卵巣から排卵された卵子は、卵管の先端部分(卵管采)にキャッチされて、卵管へと運ばれます。
この働きがうまくいかないことを「ピックアップ障害」といいます

このような卵管のトラブルの原因としてもっとも多いのがクラミジア感染だといわれています。
そのほか、大腸菌や腸球菌、淋菌の感染も原因となっています。

子宮の入り口に問題
子宮の入り口である子宮頸管は、排卵時期になるとホルモンの影響で分泌液が増加し、精子を受け入れやすい
状態に変化します。
この分泌液が十分に分泌されないと、精子が子宮の中まで入りにくくなります

また、女性の体に「抗精子抗体」があると、精子を異物とみなして子宮頸管でブロックしてしまいます。

子宮に筋腫やポリープがある場合は、その位置や大きさなどによっては、受精卵の着床をさまたげることも
あります。

精子がうまくつくれない
男性側に問題がある不妊では、造精機能障害がもっとも多く、全体の80~90%をしめます。
【造精機能障害】
・精子の数が少ない(乏精子症
・元気がない(精子無力症
・奇形精子が多い(精子奇形症
・精液の中に精子が見あたらない(無精子症
これらのトラブルも妊娠の妨げになります。

精子はさまざまなハードルを乗り越えて卵子にたどり着きますが、そのためには多数の元気な精子が
いたほうが有利なのです。
また、精液中に精子が全く見あたらない「無精子症」では、精子はつくられていて通り道に問題がある
ことが少なくありません。

【性機能(勃起、射精)障害】
・セックスがうまくできない
・十分に勃起しないED(勃起障害
・勃起しても射精できない
・腟内で射精できない(射精障害
これらのことは、ストレスや不安など、心因性のことがほとんどです。

【精子の通過経路の障害】
・先天的(生まれつき)の発育不全
・精管欠損症
・そけいヘルニア手術による両側の精管の損傷
などの原因があげられます。

【内性器の炎症による影響】
・精のう炎
・前立腺炎
・精巣上体炎
などの原因があげられます。

また、さまざまな検査を受けて、とくに原因が見つからないことも珍しくありません。
だからといって原因がないとはいいきれず、現在の医学や検査では調べようがない、解明されていない原因が
かくれているかもしれません。

しかし、原因不明だから妊娠できないということではなく、原因が特定されなくても、自然妊娠や治療により
妊娠・出産しているカップルはたくさんいるのです。

不妊症の検査

不妊治療をスタートするときに、まずは不妊の原因を調べます。
不妊検査では、女性の生理周期に合わせて検査計画を組み立てる必要があるため、すべての検査に1〜2ヶ月
かかることもあります。
ここでは、妊娠のさまたげになっているものを調べる不妊の検査にどのようなものがあるのかを紹介します。

基礎体温

病院を受診する前に、まずは基礎体温をつけてみましょう
基礎体温とは、朝、目が覚めたらすぐに測る体温のことで、専用の体温表を使って記録していきます。
また、スマートフォンのアプリなどで基礎体温を記録していくこともできます。

グラフを数周期つけてみると自分の月経や排卵のパターンがわかってきます。
ちゃんと排卵があれば、基礎体温は月経から排卵までの低温相(低温期)、そのあとの高温相(高温期)の
二相になります。

ただ、基礎体温は、おおざっぱな月経周期や排卵の有無などをみる目安であって、正確な予測は困難となります。
基礎体温表から排卵日を知ることは出来ません。

しかし、自己測定が簡単にでき、周期を把握することで、他の検査の実施計画をたてることにも役立つのです。
ここでは、基礎体温のパターン例を紹介します。

【理想的な基礎体温】
排卵の前後が低温相と高温相の二相になっています。
これでホルモン分泌のリズムがおおまかにつかめます。

【ガタガタになる】
体温が一定ではなく、排卵がないと考えられます。

【低温期と高温期の二相に分かれない】
低温相と高温相の二相になっていないので、月経があっても無排卵だと考えられます。

【高温期が短い】
通常、高温相は12〜14日程度なので、9日以内と短い場合は黄体機能不全がうたがわれます。

【高温期が続く】
高温相が21日以上続いたら、妊娠した可能性があります。

基本の検査と結果の受け止め方

不妊の原因となる問題がないか調べていきます。
どこに問題があるのか知るための、ふるい分け的な検査を月経周期2周期以内に完了することを目標と
しておこなわれ、うたがいのあるものにたいして、二次検査を追加していきます。

また、これらの検査は、不妊に対してだけでなく、妊娠した場合に問題となる病気はないかなどの
妊娠することの安全性を確認することにも重要なのです

①問 診
あらかじめ問診票に記入した内容を見ながら、医師が質問をしていきます。
問診票・問診の内容は、月経の状態、既往歴、結婚した年齢、妊娠・出産・流産の有無、子どもを望んで
からの期間などです。
それらによって、今後の検査や治療の進め方などを決めていきます。

②内 診
内診台で受ける検査。外陰部を視診、腟内に指を入れて卵巣や子宮に異常がないかどうか調べたり、
腟鏡(クスコ)を使って腟内や子宮頸部の様子を調べます。

③超音波検査
腟に超音波を発する棒状の器具(プローブ)を入れ、モニターで子宮や卵巣、子宮内膜の様子を月経周期に
応じて、数回おこないます。

低温期から排卵までは卵胞が成長するのを確認して、排卵後には卵巣にあった卵胞が消えていることで
排卵したかどうかを調べます。
この検査により、子宮筋腫子宮内膜ポリープ卵巣腫瘍多のう胞性卵巣卵胞の発育状態子宮内膜の
厚さ
排卵日の予測排卵の有無などがわかります。

④ホルモン検査
血液検査で血中のホルモン値を調べます。
妊娠や排卵にかかわるホルモンは数種類あり、月経周期に応じて、測定するホルモンがちがいます。

低温期:LH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞ホルモン)、PRL(プロラクチン)など。
排卵時期・高温期:LH(黄体化ホルモン)、E2(エストロゲン)、P(プロゲステロン)など。

このホルモンの測定により、排卵障害の原因多のう胞性卵巣高プロラクチン血症黄体機能不全などが
わかります。

⑤子宮卵管造影検査
子宮の様子と卵管の通過性を調べる検査です。
卵管の通過性がたもたれていることは、自然妊娠のための必要な条件となりますので、とても
大切な検査です。

この検査は、腟からカテーテルで子宮内に造影剤を注入すると卵管へと流れるので、これをX線撮影します。
卵管の通過性だけでなく、卵管液の貯留によって卵管(膨大部)が拡張した状態(卵管留水症)に
なっていないかもわかります。

子宮卵管造影検査は、狭くなっている部分を押し広げながら造影剤が通過するので、卵管の通過性が回復
するという治療効果ももっているため、検査により卵管の通りがよくなり、検査後すぐに妊娠する人も
います

一方、通過性があっても、卵管や卵管采のまわりの癒着(ゆちゃく)によって、卵管機能が障害されている
場合があります。
このような場合には腹腔鏡検査を追加でおこないます。

この検査では、卵管閉塞卵管周囲の癒着子宮の大きさや形子宮奇形などがわかります。

⑥フーナーテスト
性交後試験ともよばれる検査で、頸管粘液の状態がもっとも精子通過に適している排卵期におこないます。
特殊な機器を使用しないでできる基本的な検査です

排卵日の頃にセックスをして、病院で頸管粘液を採取、その中にいる精子の状態を顕微鏡で調べます。
また、排卵時期の頸管粘液の状態もチェックします。
頸管粘液は、排卵が近づくと分泌量が増え、粘りが出ます。

結果が異常になる原因として、男性側の問題(無精子症)や性交障害もありますが、これらは精液検査や
問診で判断かでき、二次検査のおもな対象は頸管に問題がある場合と免疫の問題があります。

この検査でわかることは、精子の数や運動性女性側の抗精子抗体の可能性頸管粘液の状態などがあります。

⑦クラミジア検査
性感染症の一つであるクラミジアの菌がいないかどうかを調べる検査です。

女性のクラミジア感染は自覚症状があまりないので、感染が長期化し、クラミジアの炎症で卵管周辺が
癒着(ゆちゃく)してしまい、卵管閉塞になり不妊の原因になりやすいのです。

検査方法は、血中の抗体を調べる方法と、子宮頸管の細胞を少しだけ取って抗原の有無を調べる方法があります。
抗体検査はいつでもできますが、抗原検査は月経中をさけておこないます。

⑧精液検査(男性の基本検査)
専用容器に精液を採取し、顕微鏡を使って精子の状態を調べます。
自宅で採取するか、クリニックの採精室で採取することも可能です。
体調や採取条件などにより精子の状態が違うので、1度の結果で判定するのではなく、数回検査をおこいます。
精液検査は、男性の唯一の基本検査で、パートナーの女性の基本検査と同時に受けるべきです。
この検査でわかることは、精液の量精子の数運動性能奇形率などがあります。

これらの検査をおこなっていきますが、どの時期に何の検査をするのかを紹介します。
【どの時期でもよい検査】
・問診
・内診(生理中ではない方がよい)
・クラミジア検査
・精液検査

【低温期の検査】
・子宮卵管造影検査
・超音波検査
・ホルモン検査

【排卵日のころの検査】
・フーナーテスト
・超音波検査
・ホルモン検査

【高温期の検査】
・超音波検査
・ホルモン検査

検査結果の受け止め方について

人間の身体は機械ではなく、つねに同じ状態ではありません。
また、検査を行うタイミングや精度によって、変動や誤差があることも珍しいことではありません。
つまり、検査結果は決して絶対的なものではないということです。

たとえば、ホルモン検査やフーナーテスト、子宮卵管造影検査、そして、男性の精液検査などは、検査の
たびに結果がちがうことがありますので、1回の検査だけで判断せずに、再検査や再々検査をおこなうことが大切です

必要に応じて行う検査

検査の結果や治療の過程で、さらにくわしい検査をおこなうことがあります。

内分泌・排卵に問題があった場合

・ゲスターゲン試験
無月経の方にプロゲステロンを投与して生理がくるかどうかにより無月経の程度を判定します

・GnRH試験
無月経や月経不順の場合に、LHRH(酢酸ゴナドレリン)を注射して、15分から2時間後まで採血をおこない、
黄体形成ホルモン(LH)と卵包刺激ホルモンの反応性を調べる検査です。
どちらも卵巣を刺激するように働くホルモンです

・甲状腺機能検査
高プロラクチン血症になっていて、月経異常や不妊になっているのではないかを調べる検査です。
高プロラクチン血症は、20~30歳代の若い女性に多いといわれているので、検査する必要があります。

・耐糖能検査(たいとうのうけんさ)
「多嚢胞性卵巣症候群」(未熟な卵がたくさんできる疾患)でやせている人は糖に異常があることがある
ので、糖の検査をおこないます。

・THR試験
甲状腺機能検査で、プロラクチン分泌促進テストです。

・染色体検査
不妊症の検査として「染色体検査」をおこなうことはそう多くありません。
その理由として検査費用が高価であることや 異常が出ても治療が無いことがあげられます。

これらの検査を必要におうじて二次検査として追加していきます。

子宮に問題があった場合

・子宮鏡検査
腟から子宮の中に内視鏡を入れて、子宮内の様子を詳しく確認する検査です。
子宮粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮奇形などがわかります。

卵管・腹膜に問題があった場合

・腹腔鏡検査
おなかに小さな穴を開けて内視鏡を入れ、モニターでおなかの様子をくわしく見る検査です。
子宮内膜症や子宮筋腫などは、同時に治療をすることができます。
手術なので1泊2日程度の入院が必要となります。
卵管に問題がある人や子宮内膜症の人のほか、原因不明不妊の場合に体外受精に進む前のステップとして
おこなう場合もあります

フーナーテストで問題があった場合

・抗精子抗体検査
フーナーテストで頸管粘液に精子が見られない場合などに、女性が受ける血液検査です。
女性の体に抗体があると、男性の精子を異物とみなして受けつけなくしてしまいます。
また、たとえ頸管粘液を突破した精子がいても、卵管液じゃまをされたり、受精のときにブロックされてしまいます。

卵巣年齢を調べる検査(AMH)

女性の年齢は、卵子や卵巣の状態に密接な関係があります。
実年齢より重要なのが「卵巣年齢」です。

今の時点で残された卵子の数や卵巣の能力を知る指標として注目されているのがAMH(卵巣年齢を調べる)検査です。
AMHとは「アンチミューラリアンホルモン」の略で、抗ミュラー管ホルモンとも呼ばれます。

AMHは、発育過程にある卵胞(原始卵胞)から分泌されるホルモンで、検査でわかるホルモンの値と原始卵胞
の数は比例する
と考えられています。
※原始卵胞とは、母親のお腹のなかにいた胎児のときに、すでにできていた卵胞のことです。

このAMH数値を血液検査により測定し、「卵子の数」という見かたでの妊娠力がどれだけあるかを
予測します。
AMH数値は、卵巣の機能(卵巣予備能)、つまり「卵巣年齢」を知る指標とされているのです
また、このAMH数値を参考に、治療を進めるスピードや体外受精のときの一番よいとおもわれる卵巣刺激法を
決定します。

このAMHの値は、高いほど卵子の数が多い(=卵巣年齢が若い)とされますが、AMH(卵巣年齢を調べる)
検査でわかる卵子の数と、卵子の質は関係がありません
また、数値には個人差が大きく、若くても数値が低い人もいれば、40代でも比較的高い場合もあります。

卵子の数が多くても、卵子の質がよくないと妊娠率が下がるため、卵巣年齢が若いからといって単純に
妊娠しやすいとはいえないのです。
逆に、卵巣年齢が高く、卵子の数が少なくても質がよかったために妊娠したという女性も多くいます。
質のよい卵が排卵されて妊娠のためのさまざまな条件がととのえば、妊娠は可能だということなのです。

AMH(卵巣年齢を調べる)検査の結果は、あくまでもAMH(ホルモン)の値をもとにした卵子の数の
「予測」で、実際の卵子の数を数えているわけではありません。
AMHの値がゼロでも妊娠する可能性はあります

また、FSH(卵胞刺激ホルモン)などの他のホルモン検査だと「排卵後7日目に採血」など月経周期と
関係することがありますが、AMHは月経周期に限らず測定できるので、最近はAMH値を参考にする
クリニックが増えています。
特別な予約なしでも検査を受けつけてくれるクリニックもあるようです。

検査でわかることとわからないこと

これまで、いろいろな検査方法をみてきましたが、検査方法によってわかることとわからないことが
ありますので、紹介します。
基礎体温
排卵があるかどうかがある程度わかります。

最初におこなう基本検査でわかること
排卵と精子の受精の場である卵管の状態です。

超音波
卵胞の成熟の度合いや、排卵しそうな卵胞、排卵せずに残った卵胞などがきちんと見えて、よく分かります。
ただし、排卵した卵子がきちんと卵管に取り込まれたかどうかは確認できませんし、卵の質も分かりません。

子宮卵管造影検査(子宮に細い管をいれ、管から造影剤を注入しながらレントゲンを撮る方法)
卵子と精子が出会う卵管がきちんと開通しているか、ふさがっていないかがわかります。

精液検査
精子があるかないかがわかります。
ただ、その精子が受精能力があるかどうか、きちんと卵の中に入っていけるかどうかは判断できません。

つまり検査でわかることは、排卵があるか、卵管が詰まっていないか、きちんと動く精子が一定数あるか
などで、ピックアップ障害や受精障害、着床障害、卵の質の問題などはまったく分からないのです

ですから、治療の最初におこなういくつかの検査とは、精液検査できちんと精子がいて、子宮卵管造影検査で
きちんと卵管が通っていて、超音波検査できちんと排卵があるというのは、単に妊娠に向けてのスタート
ラインに
つけるかどうかの基本を知るためのものだということです
この検査で「正常です」といわれて「正常なのに妊娠できない」と思ってしまうと、間違いなのです。
不妊検査はさまざまな不妊の原因を探し、治療の方向を確定していくことを目的としているのです。

まとめ
妊娠できないのはなぜか、どこが悪いか、何が原因か、多くの方はそういうことを気にします。
しかし、不妊症に関しては、検査の結果は正常だったり、仮に何か見つかっても、本当の原因までは特定
できないことがほとんどです。
何かしらの原因があって、そのプロセスで障害が起きているのですが、今の医学ではまだ全部わかって
いないのが現実です。

不妊治療の期間も個人差が大きく、一概には言えません。
不妊治療を始めてすぐに妊娠できたという人もいれば、顕微授精までおこなっても妊娠できず、妊娠する
までに3、4年かかったという夫婦もいます。
不妊治療を始める年齢も違えば、原因も違うので、正確に把握することはむずしいのです。

ただ、できるだけ早く始めたほうが妊娠率が高く、治療期間が短くてすむ場合が多いこともわかっています。
不妊治療を受けるかどうかで考えこむ前に、まずは、不妊について勉強しましょう。

ライター紹介 ライター一覧

hamamoto

hamamoto

医学の大好きなHAMAMOTOです。
病気や健康について、皆さまに分かりやすく紹介していきたいと頑張っています!(^^)!
現在、鍼灸治療院を経営し、皆さまの健康にたずさわっています。
平成13年に整体師として治療院をしつつ、平成16年にアロマコーディネーターの
資格を取得しました。
鍼灸治療院を開業したのは、2016年5月ではございますが、患者さまの治療と
皆さまへの健康にかんする情報発信に頑張っていきたいと思っています!
鍼師免許 第171865号
灸師免許 第171571号
ウェブサイトURL:http://health-life.tokyo/
メールアドレス:koume3086@gmail.com

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