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【大腸がんの基礎知識】症状やステージ、治療法を紹介しています。

 2016/12/20 がん
この記事は約 23 分で読めます。 22 Views

日本人の死因で、もっとも多い病気はがんです。
その中でも大腸がんは、臓器別の死亡者数で男性では3番目に、女性では1番目と上位に入ります
大腸がんにかかる割合(罹患率:りかんりつ)は、50歳代から増加し始め、高齢になるほどたかく
なります。

1990年代前半までは増加し、その後は横ばい傾向にありますが、大腸がんでなくなる人の割合は
1990年代半ばまでは増加し、その後は少しずつ減る傾向にあります。

また、大腸がんは、早期の段階で治療をおこなえば高い確率で、完全に治すこと(治癒)ができます。
しかし、大腸がんは早期の段階では、症状を自覚することがありません、
進行してあらわれる症状として多いのが血便なのですが、がんだとは思わず同じく血便が出る痔だと、
思い込んでしまう人は少なくないのです

大腸がんは検診を受けることで、大腸がんによって死亡する確率を約6080%減らせるという調査結果が
報告されています。
だからこそ、早期に発見するために、40歳以上の方は定期的に検診を受けることがすすめられます。

大腸のしくみとはたらき

ヒトが食べたものは、体内で分解(消化)されて栄養分が吸収され、最後には便として排出されます。
この一連の活動が行われる、口から肛門まで続く1本のつながった管を「消化管」と呼びます。

小腸の太さが五百円硬貨と同じぐらいなのに対し、大腸はその2~3倍ほどの太さがあります。
片方の端は小腸とつながり、もう片方の端は肛門へと続いています。
大腸は、小腸に近い順に「盲腸」「結腸」「S状結腸」「直腸」の4つの部位に大きく分けられます。

【食べ物が排泄されるまで】
口から食べ物がはいる

咽頭

食道

胃(消化される)

小腸(消化される)

盲腸(大腸のはじまり)

結腸

S状結腸

直腸

肛門

大腸の壁は、層状の構造になっています。
もっとも内側は滑らかな粘膜になっているので、便を肛門へとスムーズに運ぶことができます。
大腸とその周囲には、血管やリンパ管、神経が張り巡らされています。

食べ物の栄養分のほとんどが、小腸で吸収され、栄養分がほとんどないドロドロしたものが大腸へ送られて
きます。
大腸の主な役割は、食べ物の栄養分の残りと水分を吸収し、食物の残りカスを肛門へと運ぶことです。
肛門へ運ばれる頃には、水分のほとんどが吸収されて硬くなり、便ができあがり排泄されます。

大腸がんとは


大腸がんは、長さ約2mの大腸(結腸、直腸、肛門)に発生するがんで、日本人では、S状結腸と直腸が
がんができやすいところです。
大腸がんは大腸粘膜の細胞から発生し、形態によって大きく2種類に分けられます。
ひとつは良性のポリープ(腺腫)が、がんになる場合です。
もうひとつは正常粘膜が発がん刺激を受けて直接、がんになる場合です。

大腸がんは、粘膜の表面から発生し、大腸の壁に深く侵入していき、進行具合は、ゆっくりしたものと
いわれてはいますが、進行につれてリンパ節や肝臓、肺などべつの臓器に転移していくのです

大腸がんの症状

早期の段階では自覚症状はありません。
一般的な症状としてつぎのようなものがありますが、大腸のどこにどの程度のがんができるかによって
ことなります。

排便の変化として
• 血便(血液が混じった便)が出る
• 下血(げけつ:肛門からの出血)が起きる
• 便が細くなる
• 下痢と便秘を繰り返す
• 便が残っている感じがする

お腹の変化として
• お腹が張っていると感じる
• 腹痛が起きる
• お腹にしこりがある

そのほかの変化として
• 貧血が起きる
• 嘔吐(おうと)する
• 原因不明の体重減少

なかでも血便の頻度がたかいのですが、痔などと間違われやすく、良性疾患でもおなじような症状が
あります。

ときには、がんによる腸閉塞(へいそく)症状から嘔吐(おうと)などでがんが発見されることや、大腸がん
の転移が、肺や肝臓の腫瘤(しゅりゅう)として先に発見されることもありますので、早めに消化器科、
胃腸科、肛門科などを受診することが早期発見につながります。

大腸がんの検査


便潜血(べんせんけつ)検査で、陽性(ようせい:大腸がんの疑いあり)と判定された場合、より詳しく
調べるために、精密検査を受けます。

便潜血(べんせんけつ)検査とは…
便が大腸のがんがある部分を通過すると、便と組織が擦れて出血します。
便潜血(べんせんけつ)検査では、便に混じったわずかな血液の有無を調べます
検査の方法は、通常2日に分けて採便棒で便の表面をまんべんなくこすり取って、容器に入れて検査機関等へ
提出するだけです。検査は自宅で行うことができ、食事制限の必要もない簡単な検査です。

精密検査として、がんのある部位や広がりをしらべるために、直腸指診や注腸造影(ちゅうちょうぞうえい)
検査、内視鏡検査、CTやMRI検査、腹部超音波(エコー)検査などをおこないます。

精密検査の結果、がんではなかったら、翌年にまた大腸がん検診を受けることになります。

直腸指診

肛門から直腸へと指を入れて、しこりや異常がないかを直接触って確かめる検査です。
検査は数分で終わります。

注腸造影(ちゅうちょうぞうえい)検査

バリウム(画像をはっきりと映し出すための薬)と空気を肛門から注入し、大腸のレントゲン撮影を
おこなう検査です。
レントゲン写真では、がんの位置や大きさ、大腸の狭さの程度などを確かめることができます。
検査の前日に検査食をたべて下剤を飲んで、腸内をきれいにしてからおこないます。
検査にかかる時間は15分程度です。

内視鏡検査

先端に小型カメラが付いている内視鏡という細長い管状の医療機器を、肛門から入れて行う検査です。
腸内をきれいにしてから、内視鏡を肛門からいれ、直腸から盲腸までの全大腸をモニター画面をみて、
がんや大腸の状態を詳しく調べていきます。

ポリープなどの異常がみられた場合は一部組織を採取して(生検)悪性か良性かをしらべたり、
(病理検査)内視鏡でとりきることが可能は早期がんと手術が必要なものかということの判別も
おこないます。
病理検査とは…
内視鏡検査でとった組織に、がん細胞があるのか、あるとすればどのような種類のがん細胞かなどに
ついて顕微鏡を使ってしらべる検査をいいます。

最近では、一部の医療施設で病変の表面構造を最大で100倍まで拡大して観察できる拡大内視鏡
つかって、より精密な検査もおこなわれるようになってきています。

検査にかかる時間は人によってまちまちですが、一般的に20分程度です。
やせていて、内臓脂肪のあまりついていない人の方が内視鏡がとおりにくく時間がかかるようです。
また多くの場合、おおきな苦痛はありませんが、開腹手術後などで、腸が癒着している人や、腸のながい人
などは苦痛をともなったり、検査にながい時間がことがあります。
そのような場合は、鎮静・鎮痛薬を使用することがあります。

腫瘍マーカー

腫瘍マーカーとは、体のどこかにがんが潜んでいると異常値をしめす血液検査の項目のことで、
がんの種類によって多くの種類があります。
転移や再発の評価指標として、また治療の効果の判定などのためにもつかわれています。

大腸がんではCEACA19-9が一般的です。
しかし、これらの腫瘍マーカーで大腸がんを早期に発見することはできず、進行がんでも異常値が
でない場合もあります
腫瘍マーカーは定期的に測定して判断することが必要となります。

超音波(エコー)検査

超音波を腹部に当てることで、がんの位置を確認できるほか、大腸がんの周囲の臓器の位置関係や
肝臓やリンパ節(リンパ管どうしがつながっている部分)に転移していないかなどを調べる検査です。
検査は数分で終わります。

CT検査

コンピュータ断層撮影検査ともいいます。
体を輪切りにした状態を画像化し、がんの位置や形、大きさ、肝臓やリンパ節などに転移していないかを
調べる検査です。
治療前に転移やまわりの臓器へのがんの広がりをしらべるためにおこなう検査です。

専用の装置で、体の周囲からX線を当てるため、とくに痛みを感じることはありません。
注射で血管に造影剤を入れてから行うこともありますが、造影剤によって、アレルギーをおこすことが
まれにありますので、おこした経験のある人は医師に伝えるようにしましょう
検査にかかる時間は15~30分程度です。

MRI検査

磁気共鳴画像法ともいいます。
CTと同様、体を輪切りにした状態の画像にして、がんの位置や形、大きさ、肝臓やリンパ節などに転移して
いないかを確認する検査です。
磁石の力を利用した検査で、特に痛みはありません。
検査にかかる時間は30~60分程度です。

この検査もCT検査とおなじで、造影剤を使用することがあります。
アレルギーを以前、おこした経験のある人は、医師に伝えるようにしましょう

PET検査

がん細胞は正常な細胞と比べて、3~8倍のブドウ糖を取り込むという性質があります
放射性のフッ素をふくむ薬剤を注射して、その取り込み分布を撮影することによって、全身のがん細胞を
検出する検査です。

超音波検査やCT、MRIや病理検査で診断が難しい場合、腫瘍マーカーなどの異常から転移や再発が疑われる
場合などには、PETで検査します。
とくに痛みを感じることはありません。
全身のがん細胞の位置がひと目でわかり、その活動性がどの程度なのかを調べることができます。
がん細胞の検出に必要な薬を注射してから、全身にいきわたるまで約1時間待った後、30~60分で撮影します。

病気(ステージ)


病気とは、がんの進行の程度をしめす言葉で、英語をそのまま使ってステージともいいます。
大腸がんでは、0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期(ⅢaとⅢb)、Ⅳ期に分類されます。

大腸がんは、粘膜に発生し、大腸の壁の中を徐々に深く進みます。
大腸の壁は、つぎのように5つの層に分かれています。
内側から粘膜

粘膜下層(ねんまくかそう)

固有筋層(こゆうきんそう)

漿膜下層(しょうまくかそう)

漿膜(しょうまく)

病期はがんの大きさできまるのではなく、つぎのようなものを基準にしてきめられます。
・大腸の壁の内にがんがどのくらい深く入り込んでいるか(深達度:しんたつど)

・周囲組織への広がり(浸潤:しんじゅん)の程度

・リンパ節への転移や肝臓・肺などの遠隔臓器ほの転移の有無

深達度はTis~T4bに分類され、数字が大きくなるほど、大腸がんが深く広がっています。
<一番浅い深さのTis>
粘膜内にとどまり粘膜下層には達していない

<T1>
粘膜下層内にとどまり固有筋層には達していない

<T2>
固有筋層まで達しているが固有筋層を越えていない

<T3>
固有筋層を越えているが漿膜下層または外膜(A:漿膜がない部位)までにとどまる深さであることを示します

<T4a>
漿膜を越えた深さに達する

<T4b>
大腸周囲の他臓器にまで達する深さであることを示します。

大腸がんの場合、がんの深さが粘膜および粘膜下層までのものを「早期がん」、粘膜下層より深いものを
進行がん」といいます。
がんが大腸の壁の内側から外側に向かって深く進むにしたがって、転移することが多くなります。

【ステージ】
0期
がんが大腸の粘膜にとどまり、リンパ節への転移はありません。(Tis)

Ⅰ期
がんが大腸壁の筋層にとどまり、リンパ節への転移はありません。(Tis)

Ⅱ期
がんが大腸壁の筋層をこえているが、リンパ節への転移はありません。(T3)

Ⅲa期
がんがリンパ節(1~3個)に転移している(T1)

Ⅲb期
がんがリンパ節(4個)に転移している(T1)

Ⅳ期
腹膜や、肝臓、肺などへの転移がある(T1)

治 療

大腸がんの治療には、内視鏡治療、手術、薬物療法、放射線治療などがあります。
治療法は、病期、全身状態、年齢、合併するほかの病気などを考慮し決定されます。

手術可能な病期(ステージ)の場合、外科療法が標準的な治療となります。
良性の腫瘍や粘膜内にとどまる早期のがんは内視鏡治療で切除することが可能でありますが、早期がんの
なかでもより深く進展している場合には、追加の外科手術が必要となる場合があります。

放射線療法は、手術前の腫瘍サイズの縮小などを目的とした補助的な放射線療法と、症状の緩和や延命を目的
とする緩和的な放射線療法があります。

化学療法は、術後に再発予防を目的とした補助的な化学療法と、手術が不可能な進行がんまたは再発がんに対するQOLの向上及び生存期間の延長を目的とした化学療法とがあります。

①0期・Ⅰ期(軽度浸潤)
内視鏡での切除が可能なものは内視鏡治療をし、それでうまくいったものは経過観察をします。
内視鏡をしてみて、それでは不十分を判断されたものには、開腹手術もしくは腹腔鏡(ふくくうきょう)
手術をおこない病理検査・病理診断による検討がされ抗がん剤治療・放射線治療へとすすみます。

②最初から内視鏡では無理だと判断されたもの(Ⅰ期の深部浸潤)とⅡ期・Ⅲ期
手術
・開腹手術
・腹腔鏡(ふくくうきょう)手術

↓手術後

病理検査・病理診断による検討

抗がん剤治療・放射線治療

対処療法(大腸がんに対しての治療ではなく、それにともなっておきる症状を軽減する治療)

③Ⅳ期
Ⅳ期での治療法は3パターンにわかれます。
1.②の治療

2.手術はおこなわずに、抗がん剤治療または放射線治療をおこない、それにともなっておきる症状に
たいしての治療(対処療法)をおこないます。

3・手術も抗がん剤治療または放射線治療もおこなわず、対処療法のみをおこないます。

内視鏡治療

内視鏡を使って、大腸の内側からがんを切除する方法です。
大腸の粘膜には知覚神経(痛いという感覚)がないので、普通は痛みを感じることはありません。

大腸の内部を直接目で見て観察でき、切除した病変を詳しく診断できるため、診断と治療の2つの目的の
ために行われます
病変の表面の様子を拡大して観察できる拡大内視鏡をもちいることで、より精密な検査、診断、治療が可能と
なっています。

治療の適応は、早期の大腸がんで深達度(しんたつど)が粘膜にとどまっていて、リンパ節に転移している
可能性がないという場合になります。

切除の方法には3種類あります。
内視鏡的ポリープポリペクトミー
内視鏡をとおしてスネアとよばれるループ状の細いワイヤ(針金)の軸をポリープの根元の部分に引っ掛けて
締めて、高周波電流で病変をふくむ粘膜を焼ききります。

内視鏡的粘膜切除術(ないしきょうてきねんまくせつじょじゅつ:EMR)
病変の下層部に生理食塩水などをいれて病変を浮き上がらせてから、スネアで病変をふくむ粘膜を焼ききります。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ないしきょうてきねんまくかそうはくりじゅつ:ESD)
病変の下層部にヒアルロン酸ナトリウムなどの薬剤をいれながら、病変をメスで少しずつはぎ取る方法で
大きな病変も一括して切除できます。
ただし、内視鏡的粘膜切除術にくらべると高度な手技が必要で、切除にも時間がかかります

治療方法は、病変の大きさや肉眼で見た形(肉眼型)、部位、予測されるがんの深さ(深達度)などによって
決定されます。
内視鏡治療で大腸がんが確実に切除されたかどうかは病理検査・病理診断で確認し、治療の適応をこえていた
ことが明らかになった場合は、手術(外科治療)が追加で必要なこともあります。

またどの治療法でも、摘出した病変を顕微鏡で十分に検査することで、がんを取り残していないか、また転移
や再発の危険性が高くないかを確認することが重要です。

手術(外科治療)

内視鏡治療の適応でない場合は、手術による切除が基本的な治療となり、早期でも手術が必要な場合があります
がんのある腸管とリンパ節を切除(リンパ節郭清[かくせい])し、がんが周囲の臓器に進行している場合は、
それらの臓器も一緒に切除します。

がんの位置におうじて切除の範囲や合併症、危険性もちがってきます。
また、病状や手術の方法によって人工肛門の造設も必要となる場合があります。

①結腸がんの手術
がんのある部位から両側に10cmほど離れたところの腸管を切除し、縫い合わせます。
結腸がんの場合、切除する結腸の量に関わらず、手術後の機能障害はほとんど起こりません

がんがある部位によって切除する範囲が決定し、手術法としてはつぎのようなものがあります。
回盲部切除術

結腸右半切除術

横行結腸切除術

結腸左半切除術

S状結腸切除術

②直腸がんの手術
直腸は骨盤内の深く狭いところにあり、その周囲には神経や筋肉、前立腺・膀胱(ぼうこう)・子宮・卵巣
など排便、排尿、性機能などの役割がある日常生活で重要な器官があります。
これらは、骨盤内の自律神経によって調節されています。

直腸がん手術での自律神経温存術は、排尿機能と性機能を調節する自律神経を手術中に確認し、自律神経を
のこす手術法です。

また、排便機能を調節する自律神経をのこす方法として、肛門括約筋温存術もあります。
すべての神経が残せれば、手術前と同様な機能をたもつことが可能です。
しかし、がんが自律神経の近くに及んでいるときは、神経を切除する手術が必要な場合もあり、機能障害
がおこる可能性があります

なお、肛門の近くのがんを切除する場合など、病状や手術の方法によっては、人工肛門(こうもん)の
造設が必要になる場合があります。

また、進行度に応じたさまざまな手術法があり、代表的な手術つぎのようなものがあります。
直腸局所切除術

前方切除術

直腸切断術

最近では、おなかに小さな孔をつくって、そこから小型カメラと切除器具のついた腹腔鏡をいれて、
画像をみながらがんを摘出する腹腔鏡手術という方法もあります。

通常の開腹手術にくらべてキズが小さいため、手術による体の負担が少なく、手術後の回復も早いため、
大腸がんにおける手術件数は年々増加しています

しかし、通常の開腹手術とくらべて、リンパ節郭清が難しいこと、消化管をつなぎ直す技術の確立が十分
とはいえないことなどから、通常の手術より合併症の発生率がやや高くなる可能性も指摘されていて、
とくに進行がんに対しては臨床試験により、有効性と安全性を確認することが必要と考えられています。

そのようなことから、この方法が可能かどうかは、各施設の方針などによってもちがってくるため、
担当医に相談が必要です。
③バイパス手術
がんにより大腸がふさがってしまった場合に迂回(うかい)路をつくる手術で、食べ物の流れを確保するため
に行います。

手術後の症状

大腸がんの手術により、つぎのような症状が出る場合があります。
・軟便や下痢
・便秘
・おなかの張り
・腸閉塞
・縫合不全
・創感染(そうかんせん)

食事制限はとくにありませんが、ご自分の胃腸の症状におうじて食べ物を調整するようにしましょう。
基本的には、おいしく、ゆっくり、楽しく、食べることです。
食べすぎず、消化のよい食品、バランスのよい食事を心がけ、アルコールは飲みすぎないようにしましょう。

放射線治療  

放射線治療は、高エネルギーのX線を体の外から照射してがんを小さくする効果があります。
直腸がんで期待できる効果としてつぎのようなものがあります。
(1)骨盤内からの再発の抑制
(2)手術前のがんの大きさを縮小する
(3)肛門を温存する、などを目的として行う「補助放射線治療」
(4)切除が難しい骨盤内のがんによる痛みなどの症状緩和を目的で行う「緩和的放射線治療」
(5)脳転移による神経症状の改善

放射線治療の副作用

副作用は、おもに放射線が照射された部位におこりますので、症状は部位によってことなります。
大腸がんの治療中は、一般的につぎのような症状がおこる可能性があります。
・下痢
・肛門痛み
・下血
・血尿
・頻尿
・排尿時痛
・皮膚炎
・会陰(えいん)部皮膚炎【粘膜炎】

全身症状としては、つぎのような症状がおこる可能性があります。
・だるさ
・吐き気
・嘔吐(おうと)
・食欲低下
・白血病の減少

このような症状は、個人によって程度がちがいます。
症状が強い場合は、症状をやわらぜる治療をしますが、通常は治療後2~4週ぐらいで改善します

また、治療後しばらくしておこる可能性のある副作用もあり、腸管や膀胱に出血や炎症などの影響がでる
ことがあります。

抗がん剤治療(化学療法、分子標的薬)

大腸がんの抗がん剤治療は、おもにつぎのような目的でおこなわれます。
・手術後のがんの再発を予防するための「補助治療」
・大腸がんを完全に治す目的の手術が困難な進行がんまたは再発がんにたいしての「延命」および生活の質
(QOL:クオリティ・オブ・ライフ)の向上

最近は、大腸がんに有効な抗がん剤がいくつか開発され、患者さんの症状にあわせて数種類の薬剤をくみ
あわせて使用したり、単独で使用したりします。
また、副作用対策が進歩したことから、外来通院で日常生活をおくりながら抗がん剤治療をうける患者さんも
多くなりました。

分子標的治療

体内の特定の分子だけをねらい撃ちしてそのはたらきをおさえる「分子標的薬」という薬をもちいて治療します。
ほかの抗がん剤と併用することで効果をたかめることが期待されています。

化学療法

化学療法には、手術と組み合わせて行われる「補助化学療法」と、手術による治癒が難しい状況で延命や症状コントロール目的で行われる「緩和的化学療法」があります。
緩和的化学療法は、大腸がんを完全に治すことが難しい場合でも、がん自体の進行を抑え、延命および症状
を軽減することを目標として行われます。
近年の化学療法の発展により、手術できない状況であっても、化学療法が著しく効いたことにより手術可能
となった場合には、手術が行われることが増えてきました。
また、分子標的治療と同様で、多くの患者さんは、外来通院で日常生活を送りながら化学療法を受けることが
できるようになりました。

①手術による治癒が難しい進行・再発がんに対する化学療法
がんをすべて取り除き、治癒を目標とする手術や内視鏡治療が難しい場合に行います
化学療法のみで完治することは難しいですが、化学療法を行ったほうが生存期間を延長し、クオリティ・
オブ・ライフ(QOL:生活の質)を向上させることがわかっています。

化学療法で使用する薬剤の組み合わせは複数あり、全身状態、合併症の有無、腫瘍の状態などから治療方針が
決定されます。
一次治療から四次治療まで選択肢があり、分子標的薬を組み合わせて使用することもあります。
まずは一次治療から開始し、効果が低下した場合は二次、三次と順次に治療を続けていきます。
四次治療まで進みますが、どの段階まで治療が可能かは患者さんの状況によって異なります。

②術後補助化学療法
再発予防を目的として手術後に化学療法を行うことを、術後補助化学療法といいます。
治療の適応となる対象は、手術によってがんが完全に切除できた病期(ステージ) がIII期およびII期の中
でも再発リスクの高い患者さんに対して、手術後にフルオロウラシル+レボホリナート療法のオキサリプラ
チン6カ月投与またはFOLFOX療法、CapeOX療法などが標準的に行われます。

これらの治療を併用するかどうかについては、併用により上乗せされる効果と、予測される副作用との
バランス、年齢や合併症などを考えて決定します。

抗がん剤の副作用

抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響をおよぼし、新陳代謝のさかんな細胞が影響をうけやす
く副作用の症状としては、つぎのような症状がおこる可能性があります。

・脱毛
・口内炎
・下痢
・白血病や血小板の減少
・全身のだるさ
・吐き気
・胸痛(狭心症)
・肝臓や腎臓に障害
・手足のしびれ
・皮疹

このような症状があらわれることがありますが、現在では、抗がん剤の副作用による苦痛を軽くする方法が
すすんでいますし、副作用がいちじるしい場合には治療薬の変更や治療の休止、中断を検討することも
あります。

高度活性化NK細胞療法

標準的な大腸がん治療との併用により、相乗効果が期待できます。
高度活性化NK細胞療法は、リンパ球に含まれる免疫細胞の一つのナチュラルキラー(NK)細胞を、
最新の培養技術で 2週間ほど無菌状態で数百倍から数千倍に増殖・活性化し、再び患者さんの体内へ
戻すという療法です。

高度活性化NK細胞療法は化学療法(抗ガン剤)など標準的な大腸がん治療を妨げない治療法なので、
標準的な大腸がん治療と併用が可能で、抗ガン剤などのデメリットを高度活性化NK細胞療法がおぎなって、
大腸がん治療全体の効果を上げることが期待できます。

また、標準的な大腸がん治療が困難な場合でも治療可能です。
「外科療法(手術)」、「化学療法(抗ガン剤)」、「放射線療法」などの標準的な治療で大腸がんの進行が
食い止められなかった場合でも、採血が可能であるならば、高度活性化NK細胞療法は治療が可能となります。

高度活性化NK細胞療法は、自分の血液を活性化して行われますので、副作用の心配はほとんどありません

• 標準的な大腸癌(大腸がん)治療との併用が可能で、相乗効果が期待できます。
• 身体全体をめぐるNK細胞を元気に活性化させるため、再発・転移に有効性が高いと言えます。
• 生活の質(QOL)を高く維持できます。

生存率

大腸がんは早期の段階で発見されれば、ほぼ100%近い治癒率があります
しかし、大腸がんが見つかる患者さんのうち、7~8割程度の方は進行がんと診断され、治療が難しくなるケース
が多いという特徴があります。
大腸がんは症状にとぼしいうえ、がんができた箇所が肛門から遠ければ遠いほど症状がでにくいので、すでに
転移をしてしまった後で、転移による痛みで病院を受診するというケースもしばしばあります。

5年実測生存率(%)とは、「がんの治療開始から5年後に、再発していようがいまいが生存している人の割合」
のことをいいます。
つまり、がんの治療を始めた人の中で5年後に生存している人の割合という意味です。

5年相対生存率(%)というのは、「がんの治療を始めた人の中で5年後に生存している人と、日本人全体の性別
と年齢が同じ人の5年後の生存率とを比べた割合」のことを言います。
【大腸がんの生存率】

ステージ 5年実測生存率(%) 5年相対生存率(%)
89.1 99.0
80.8 90.9
73.7 81.6
16.6 18.2

【結腸がんの生存率】

ステージ 5年実測生存率(%) 5年相対生存率(%)
89.6 100
81.0 92.0
74.5 83.4
16.2 17.9

【直腸がんの生存率】

ステージ 5年実測生存率(%) 5年相対生存率(%)
88.4 97.0
80.6 89.3
72.6 79.3
17.2 18.8

治療後の経過観察

大腸がんは、ほかの消化器がんにくらべて治る可能性が高いといわれています
治療をおこなったあとは、体調確認のため、また再発をうたがわせる症状がないかどうかをしらべるために
定期的に通院が必要です。

手術後の3年間は3~6カ月に1度は通院し、胸部X線、内視鏡、CT、超音波(エコー)検査、腫瘍マーカー
などの検査を定期的におこないます
経過観察の期間は、一般的に5年とされています

また、術後の人や進行がんの人におこなわれる抗がん剤治療は、基本的に外来通院でおこなわれます。
治療をおこないながら副作用の状況や体調の管理、病状の変化などを確認するために定期的に通院する
必要があります。

転 移

転移とは、がん細胞がリンパ液や血液のながれにのって別の臓器に移動し、そこで成長したものをいいます。
大腸がんでは肝臓リンパ節への転移が多くみられます。

がんを手術で全部切除できたようにみえても、その時点ですでにがん細胞が別の臓器に移動している
可能性があり、手術した時点ではみつけられなくても、時間がたってから転移としてみつかることが
あります。

再 発

 

再発とは、治療によって目にみえる大きさのがんがなくなった後、再びがんが出現することをいいます。
大腸がんでは、再発する人の約80%が、手術から2年以内にみとめられていて、術後の経過観察がとても
大切です。

手術をした場所のすぐ近くで再発がある場合と、肝臓や肺、骨などへ転移した状態で再発がある場合が
あります。
再度手術できる場合もありますがそれほど多くはありません。
切除できない場合には抗がん剤や放射線による治療が行われるのが一般的です。
再発といってもそれぞれの患者さんでの状態はことなります。

転移がおこっている場合には治療方法も総合的に判断する必要があります。
それぞれの患者さんの状況におうじて治療やその後のケアを決めていくことが重要です。

病気にたいする心構え

がんにたいする心構えは、積極的治療に向き合う人、治るという固い信念をもってのぞむ人、なるように
しかならないと受けとめる人などいろいろです。
どれがよいということはなく、その人なりの心構えでよいのです。

心構えをするには、自分の病気のことをよく知ることが大切です。
病状や治療方針、見通しなどについて担当医からきちんと説明をうけ、十分に納得したうえで、がんに
向き合うことが必要です。

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ライター紹介 ライター一覧

hamamoto

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医学の大好きなHAMAMOTOです。
病気や健康について、皆さまに分かりやすく紹介していきたいと頑張っています!(^^)!
現在、鍼灸治療院を経営し、皆さまの健康にたずさわっています。
平成13年に整体師として治療院をしつつ、平成16年にアロマコーディネーターの
資格を取得しました。
鍼灸治療院を開業したのは、2016年5月ではございますが、患者さまの治療と
皆さまへの健康にかんする情報発信に頑張っていきたいと思っています!
鍼師免許 第171865号
灸師免許 第171571号
ウェブサイトURL:http://health-life.tokyo/
メールアドレス:koume3086@gmail.com

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